37歳次男の久しぶりの帰省連絡

「久しぶりに帰るよ」

去年のゴールデンウィーク前、山田義男さん(仮名/67歳)のもとに次男の健二さん(仮名/37歳)から連絡がありました。健二さんが家を出てから10年。帰省は年に1回あるかないかで、ゴールデンウィークに帰ってくるのは珍しいことでした。義男さんも妻の和子さん(仮名)も、次男の帰省を素直に嬉しく思いました。

義男さんは2年前に退職し、いまは夫婦合わせて月21万円ほどの年金で暮らしています。現役時代に比べれば収入は大きく減りましたが、「二人で贅沢しないならなんとかやっていける」そんな感覚を持っていました。

GW初日、健二さんは大きなリュックを玄関に下ろし、「腹減った」と笑いました。和子さんはさっそく好物の唐揚げをつくろうとスーパーに向かいます。買った鶏肉は1kg弱。普段の夫婦二人の生活なら3日ほどもつ量でした。

GW4日目、小さな違和感

健二さんは帰省してからというもの、夜遅くに寝て、昼前に起きだしてくる生活。リビングのソファに横たわり、食事の時間になると黙ってテーブルにつき、食べ終わるとまたソファに戻ります。視線はいつもスマホに向いていて、親を気遣うでもなく、会話をするわけでもありません。

「連休なのだからゆっくりすればいい」

義男さんも最初はそう思っていましたが、生活のペースが乱れるにつれ、違和感を覚えはじめました。

夫婦二人なら消費期限間近のパンや惣菜で済ませていた昼食も、健二さんがいると「ちゃんとしたもの」を出さなければと思います。買い物の回数も量も増え、ときには外食に連れ出します。洗濯物も増え、家事にかける時間はいつもの倍以上に。やたらと冷蔵庫の中身が増えて、減るのも早い。暮らしのなかの他愛ない変化でしたが、義男さんは妙に心がざわつきました。