(※写真はイメージです/PIXTA)
身の丈に合わないタワマン
「いまさらだけど、後悔してる。タワマンなんて、俺の年収で維持していいもんじゃない。固定資産税を払うために働いてるみたいだ」
久しぶりに再会した弟に、マサキさんはついに本音を吐露しました。「あんなに友達を家に呼んで、ドヤってたのに(笑)」とからかいつつも、ユウタさんは提案します。
「もう売っちゃえば? 最近のタワマン、まだ値上がりしてるってニュースでみたよ」
タワマンというブランドに陶酔して、手放すことを躊躇っていたマサキさんは、熟考の末、不動産会社に査定を依頼することに。そして、その結果に驚愕しました。3年前に8,000万円だった父の家は、海外投資家や富裕層の需要により、築年数が経過しているのにもかかわらず、1億1,000万円まで値上がりしていたのです。
「維持費に苦しむくらいなら、売って身の丈に合ったマンションに買い替えよう。残った金で、ユウタみたいに運用を始めるよ」
マサキさんは、3年間の「タワマンの呪縛」から解き放たれる決意を固めました。
タワマン相続に潜む「維持コスト」の現実
今回のマサキさんの事例は、日本の住宅政策が今後直面し得る「相続のミスマッチ」という社会問題を象徴しています。
国土交通省が2023年(令和5年)6月に公表した『今後のマンション政策のあり方に関する検討会 中間とりまとめ』を紐解くと、そこにはタワマン特有の危機的な未来予測が記されています。
報告書は、都市部の高層マンションが将来“空き家予備軍”化するリスクを指摘しています。特に親世代が住んでいたタワマンを子が相続する場合、「身の丈に合わない住環境」と「持て余す贅沢」が致命的な壁となるのです。マサキさんのように「親は払えたが、子は払えない」という経済的な乖離は、将来的に管理費の滞納や修繕の停滞を招き、マンション全体を「管理不全」という負のスパイラルへ引きずり込む要因として名指しされています。
タワマンは高収入、もしくはタワマン以外の資産が豊富でなければ維持できません。国土交通省『マンション総合調査(令和5年度)』をみても、築年数が経過するほど修繕積立金は段階的に値上げされるのが一般的であり、維持費は安くなることはありません。マサキさんが陥った「ハウスリッチキャッシュプア」という状態は、このミスマッチから生まれたものです。
相続で後悔しないためには、額面ではなくランニングコストでみるようにしましょう。相続時の時価に目を奪われず、固定資産税と修繕積立金の「30年後の推移」をシミュレーションする必要があります。また、国交省の懸念どおり「住めない、売れない、でも維持費はかかる」という状況に陥る前に、不動産価格高騰の恩恵があるうちに現金化し、身の丈に合った資産構成に組み替えることを検討に入れるのも一つの選択肢です。
マサキさんの決断は、父が遺した「過去の栄光」を、自分たちが生き抜くための「未来の資金」に変換する賢明な一手だったといえるでしょう。不動産価格が高いうちに、その資産が「自分の代で維持できるものか」を見極めることが求められています。
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