潤沢な蓄えがあるはずの世帯でも、予期せぬ落とし穴によって老後設計が揺らぐケースは少なくありません。たとえば、良かれと思って行った「家族への配慮」。ある男性のケースから、将来への備えと子への支援をどう両立させるべきか、考えていきます。
〈退職金2,200万円〉〈年金月20万円〉60代夫婦「これで一生安泰だ」のはずが、70歳目前に「1,000万円の出費」。兄弟平等が招いた「老後破産」の危機 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅資金贈与の「非課税枠」に対する親の意識

「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」は、平成21年の本格開始以降、経済状況に合わせてその限度額を大きく変動させてきました。平成21年に500万円だった非課税限度額は、平成22年には最大1,500万円に。平成31年から令和3年にかけては、最大3,000万円という極めて高い非課税枠が設定されていました。令和4年以降は、省エネ等の良質な住宅に対しては1,000万円、一般住宅に対しては500万円が非課税枠となっています。

 

国税庁『令和5年分申告所得税標本調査』によると、住宅取得等資金の非課税制度を利用した贈与は、年間で6.2万件にのぼり、贈与額は1件あたり770万円となっています。実際に相当な額を贈与している実態を垣間見ることができますが、この「非課税で渡せる上限額」という数字が、親世代にとっては「子のために出すべき目安」として機能してしまい、自身の老後資金を過剰に削ることもあります。

 

「長男に援助したときは、年の差があったこともあり、次男を意識することはありませんでした。相続なども考える年齢になって“遺す側”として意識するようになると、兄弟格差はまずいと思うようになりました」と義明さん。公平性を重視するあまり、少々無理な拠出を行う結果となりました。

 

無理な贈与は、将来的に介護や葬儀の負担を子に負わせる結果になりかねません。非課税枠の多寡に惑わされず、まずは自分たちの老後の収支を最優先に確保する姿勢が大切です。

 

 

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