(※写真はイメージです/PIXTA)
どんな高給取りでも「年金」はそれほどもらえない
斎藤さんのように、キャリアの後半で急激に年収が上がったとしても、それが老齢厚生年金の受給額に反映される幅には限界があります。日本年金機構の規定によれば、厚生年金額の算出基礎となる「平均標準報酬額」は、加入期間全体の報酬を平均して計算するためです。
50代で年収1,500万円に達しても、20代から40代までの約30年間に及ぶ低賃金期間が平均値を押し下げます。さらに標準報酬月額には上限(現在は65万円)が設定されており、それを超える高額報酬は将来の年金額に直結しません。
例えば同じ男性正社員で、20歳から60歳まで「大企業」で働いた人と「中小企業」で働いた人を比較してみましょう。生涯賃金の差は1億2,000万円以上にのぼり、1年あたり300万円の差が生じます。一方で、年金の差は月4.8万円程度。1年あたりでも60万円弱の差にとどまります(※厚生労働省『賃金構造基本統計調査』等より算出)。現役時代の給与差ほど、年金受給額に差は生じないのです。
また、退職後の住民税や国民健康保険料、介護保険料は前年の所得を基礎として算定されます。現役最後の年収が高かった斎藤さんのようなケースでは、受給開始直後の負担が非常に重くなります。「収入は激減したのに、税金や保険料が高い」という事態に直面するわけです。
内閣府の調査によれば、日本では「経済的な心配がある」と回答した高齢者が約6割にのぼり、他国と比較しても老後の不安を抱える割合が高い傾向にあります。
斎藤さんのように生活水準を維持したまま資産を切り崩せば、数年で底を突くのは自明です。「一度上げた生活は落とせない」という言葉通り、過去の成功体験が家計の修正を阻み、老後破綻を加速させる要因となります。
このような状況を避けるには、現役時代の収入ではなく「年金額を基準にした生活設計」へと発想を切り替えることが重要です。住居費や車両費などの固定費を中心に、段階的に水準を調整していくことが現実的な対策となります。老後の安定は収入の多さではなく、「どの水準で暮らすことを選択するか」に左右されるといえるでしょう。
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