親が遺してくれた大切な実家。兄弟姉妹で平等に分けることは、最も公平な選択に思えます。しかし、安易に選んだ「共有名義」という道が、数年後の家族をどん底に突き落とすケースが後を絶ちません。不動産という切り分けられない資産を複数人で所有し続けることは、個人の自由を奪うだけでなく、予期せぬ第三者の介入を招くリスクを孕んでいます。
何かの間違いでは…実家を3人で平等に分けたはずが、3年後に次男宛に届いた「恐ろしい通知」の中身 (※写真はイメージです/PIXTA)

共有名義が抱える法的リスク

佐藤さんきょうだいのケースのように、共有者のひとりが経済的に困窮し、その持分が第三者に渡るケースは、決して珍しいことではありません。

 

相続放棄の受理件数は、高齢化や地方の不動産価値低下などを背景に右肩上がりで急増しています。裁判所の「令和5年司法統計年報(家事編)」によると、2023年度(2024年公表)の受理件数は30万8,753件と、過去最高を更新しました。それに伴い不動産の共有解消に関する法的トラブルも注目されています。特に、一戸建てのような「現物での分割」が不可能な資産において、共有名義はトラブルの火種となりやすいのが実態です。

 

共有名義の最大の懸念点は、共有持分のみを買い取る専門業者の介入です。民法第256条では「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」と定められています。共有持分を取得した第三者は、この規定に基づき、他の共有者に対して「自分の持分を買い取るか、さもなくば家全体を競売にかけて現金を分配せよ」と迫ることが可能です。

 

こうしたリスクを回避するためには、相続発生時の遺産分割協議において、共有名義を避けることが推奨されます。不動産を売却して現金を分ける「換価分割」や、一人が相続して他の相続人に代償金を支払う「代償分割」を検討すべきです。「とりあえず平等に」という安易な判断が、家族以外の第三者に介入の余地を与え、最終的に資産価値を損なう結果を招くという現実に留意する必要があるでしょう。

 

 

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