年収750万円の夫の収入から毎月の家計を切り詰め、目標だった「老後資金2,000万円」をついに貯めきった専業主婦のミワさん(仮名・55歳)。しかし、夫が退職金と貯金全額を内緒でFXにつぎ込み、全財産を失っていたという衝撃の事実が、夫のスマートフォンに届いた“ある通知”から発覚します。「私の20年、返してよ!」と泣き崩れる妻に、夫は顔面蒼白で土下座するも……。「こんな夫と老後を迎えるくらいなら、ひとりで生きる」と決意し、冷酷に熟年離婚への準備を始める家庭崩壊の実態に迫ります。
「私の20年、返してよ!」〈老後資金2,000万円〉をFXで溶かした58歳夫、土下座で許しを乞うも…55歳妻が突きつけたのは「離婚」の2文字 (※写真はイメージです/PIXTA)

土下座する夫へ容赦なく突きつける「離婚」の2文字

やがて、ミワさんの怒りは悲しみを通り越し、冷酷な決断へと変わりました。

 

ケンさんは土下座をして謝罪し、「これからアルバイトでも何でもしてやり直す」と懇願しましたが、ミワさんの心はピクリとも動きませんでした。

 

「こんな借金まみれになるかもしれない男と一緒に老後を迎えるくらいなら、一文無しになってでもひとりで生きていくわ。離婚よ、離婚」

 

現在、ミワさんはパートの面接を受けながら、離婚の準備を進めています。ミワさんの決意は固く、揺らぐことはありません。

老後の資産形成への焦りが招く夫婦関係の崩壊

厚生労働省が発表した「離婚の年次推移」によると、令和2年の日本の離婚件数は約19万3,000組となっています。

 

全体の件数自体は減少傾向にあるものの、長年連れ添った夫婦が別れを選択するいわゆる「熟年離婚」は依然として身近な問題です。今回の事例のように、老後を目前にしての経済的な裏切りは、夫婦関係に致命的な亀裂をもたらします。

 

また、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」を見ると、老後の備えとして「資産形成(貯蓄・投資)など」に取り組む必要があると回答した人は全体で24.2%でした。特に男女ともに64歳までは4割以上と高い割合を示しており、定年前後の世代が老後資金に対して強い関心と焦りを抱いている実態が見て取れます。

 

将来の不安から資産形成に取り組むこと自体は重要です。しかし、家族に内緒でハイリスクな投資に手を出し、大切な老後資金を失ってしまっては元も子もありません。結果として長年の結婚生活そのものに終止符を打つことになり、財産分与すべき資産もないまま迎える離婚後の生活は、非常に過酷なものとなります。

 

夫婦間での透明性のある金銭管理こそが、平穏な老後を迎えるための最低条件といえるでしょう。

 

[参考資料]

厚生労働省「離婚の年次推移(令和4年)」

内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」