「東京に行けば、今とは違う自分になれるはず」――。そんな期待を抱き、住み慣れた土地を離れる若者は少なくありません。しかし、華やかなイメージとは裏腹に、厳しい経済的現実に直面し、行き場を失うケースも珍しくありません。ある男性の事例から、理想と現実の乖離を招く要因について考えます。
東京に行けば何かが変わると思ってた…月収25万円・27歳で上京した男性、5年後に直面した「過酷な現実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

上京後の生活実態と見落とされがちなコスト

都会は生活費が高い――そう思われがちですが、実は総額で見ると大きな差はありません。総務省『家計調査 家計収支編 2025年平均』によると、単身・勤労世帯の月平均支出は、大都市で19万5,979円、人口5万人未満の小都市でも19万3,508円と、ほぼ同水準です。この背景には、地方特有のコスト構造があります。たとえば水道・光熱費。人口密度が低い地域ではインフラ維持費が分散できず、さらに寒暖差や輸送コストの影響もあり、都市部より高くなる傾向があります。

 

【勤労単身世帯「大都市」と「小都市」の月支出の比較】

消費支出…195,979円/193,508円

(内訳)

食料…47,442円/43,803円

住居…33,788円/23,704円

光熱・水道…8,828円/13,102円

家具・家事用品…6,484円/5,476円

被服及び履物…7,050円/4,437円

保健医療…7,702円/7,665円

交通・通信…23,423円/25,087円

教育…132円/0円

教養娯楽円…25,225円/24,069円

その他の消費支出…35,905円/46,165円

※数値左より、大都市/小都市

 

ただし、家計調査は持ち家世帯も含む平均値のため、家賃の差が見えにくい側面があります。そこで総務省『小売物価統計調査』を見ると、より実態が明確になります。2026年2月時点、民間借家で最も高いのは東京都区部で1畳あたり9,909円。対して調査対象都市で最も安い青森県八戸市は2,883円と、3.4倍もの差が生じています。固定費としての家賃がずば抜けて高い東京での暮らしが、いかに家計を圧迫するかは明らかです。

 

そのようななか、32歳となった佐藤さんの月収は23万円に留まっています。厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』によると、30代前半・男性の月収中央値は30.5万円。上位25%で36.4万円、上位10%で45.4万円です。一方、下位25%は25.9万円、下位10%は20.9万円となっています。

 

「何かが変わるかもしれない」と期待を込めて上京した佐藤さんですが、その立ち位置は同年代の下位25%以下という厳しい水準です。「環境を変えれば自分も変われる」という期待は、膨大な固定費と厳しい競争原理によって、かえって経済的な困窮を招く結果となりました。

 

確かに上京で可能性は大きく広がりますが、誰もが輝かしい生活を叶えられるわけではありません。「どこにいるか」よりも「どう生きるか」。佐藤さんのケースは、場所を変えることだけで満足してしまい、その土地でのリアルな生活設計を欠いたという、「環境への依存」が招いた典型的な失敗といえるでしょう。生活コストが跳ね上がる都会で生き抜くには、具体的な収支シミュレーションと、「何をして稼ぐか」という視点が不可欠です。

 

 

【注目のウェビナー情報】​​​

【税金対策】4月15日(水)オンライン開催

《高所得者の所得税対策》
「インフラ投資×FIT制度」活用セミナー

 

【国内不動産】4月18日(土)オンライン開催

《未所有×民泊投資》
平均利回り20%超の「新資産運用モデル」の全貌