平穏な日々に終わりを告げた「税務署からの電話」

埼玉県内に住むシズコさん(仮名/75歳)。

半年前に夫を亡くし、現在は実家で同居する独身の長男・カズヤさん(仮名/49歳)と二人で暮らしています。慎ましくも平穏な日々でした。

しかし、その日常は税務署からかかってきた「一本の電話」によって崩れ去ります。

シズコさんの夫は生前、大手メーカーの営業課長。晩年は認知症を患い施設に入所していました。

その夫が亡くなった際、シズコさんは、夫の遺産が「築40年の自宅」と「約150万円の貯金」だけであったため、「なんでこんなに少ないんだろう」と不思議に思っていたそうです。

ただ、息子が「俺が母さんの分まで稼ぐから大丈夫。心配いらない」と励ましてくれたおかげで、贅沢はできずともこれまでなんとか生活できていました。

そんな自分たちに、なぜわざわざ税務調査なんか……。

税務調査の理由が判明

困惑したシズコさんはその夜、リビングでテレビを見ていた長男に相談しました。

「税務署から電話があったの。お父さんの貯金、本当はもっとあったのかしら」

すると、カズヤさんは、顔を真っ青にしてうつむきました。

しばらくの沈黙の後、カズヤさんの口から漏れたのは、信じられない「告白」でした。

「母さん、ごめん。実は親父、部屋のクローゼットの奥に、タンス預金を隠してたんだ。親父が施設に入った後、親父の部屋を片づけていたときに見つけて……」

シズコさんは、頭の中が真っ白になりました。毎日顔を合わせ、父の介護を労い合っていた息子が、夫のタンス預金の存在を隠していたのです。

「あんた、そのお金はどうしたの!? まさか、全部あるんでしょうね!」

声を荒らげるシズコさんに対し、カズヤさんは泣きながら「最悪の事実」を告白しました。

「多分2,000万円以上は使ったと思う……。派手な買い物はしてないし、貢いだり騙されたりもしていないよ。でも、普段の生活費と、あとギャンブルにつぎ込んで……」

シズコさんは後日、カズヤさんが「親父のタンス預金を預けている」という口座を確認。5,000万円近い入金のあと、数年にわたって継続的に引き出されており、残高は3,000万円を切っていました。

シズコさんは現在、税務署への修正申告と、息子の「使い込み」をどう法的に処理すべきか、弁護士のもとへ相談に訪れています。カズヤさんとはその日の夜からまだ一言も話していないそうです。