年金月13万円・74歳女性のもとに、“警察”からかかってきた〈1本の電話〉

トシコさん(仮名・74歳)は、関西地方の戸建て住宅で一人暮らしをしています。7年前に夫を見送り、現在の収入は月約13万円の年金のみ。夫が遺してくれた退職金や預貯金などの約2,500万円は、将来自分が老人ホームに入るための資金として、一つの口座にまとめたまま一切手をつけていませんでした。

そんなある日の昼下がり、“警察”と名乗る男性から1本の電話がかかってきました。

「あなたの銀行口座がサイバー攻撃を受けました。口座情報が漏洩し、詐欺グループに狙われています。このままでは明日にも口座が凍結され、預金がすべて引き出されてしまいます」

「情報漏洩」「口座凍結」……。物々しい言葉に、トシコさんはパニックに陥ります。「私、どうしたらいいんでしょうか」と震える声で尋ねると、男性は落ち着いた声でいいました。

「ご安心ください。私たちがあなたの資産を保護します。すぐに金融庁が管理する安全な“セキュリティ口座”へ資金を避難させましょう」

そして、手元のスマートフォンを使った「インターネットバンキング」での送金手続きを勧めてきたのです。

「私、スマホは電話やLINEくらいしか使えなくて……」

そういって銀行の窓口に行こうとするトシコさんを、男性は強く引き留めました。

「いま行くのは大変危険です! 詐欺グループがあなたの動きを監視していて、尾行される恐れがあります」

そして男性はまるで優秀なカスタマーサポートのように、「それでは画面にある青いマークを押してください」「そこに好きなパスワードを入力してください」と、アプリのインストールから初期設定、送金画面の操作までを手取り足取り案内しました。

指示どおりに操作を進めるうち、トシコさんの不安感は消えていきました。

「このおまわりさんは、見ず知らずの年寄りのお金を守るために、こんなに時間をかけて親切にしてくれている」

そうして、すっかり相手を信用しきってしまったのです。