(※写真はイメージです/PIXTA)
父の一言で動いた売却…「持ち続ける前提」が崩れた瞬間
状況が変わったのは、徹さんが施設に入居してから5年が経過したころでした。
「もう、戻れんのよ。あの家、売るわ」
それまで徹さんは「いずれ体調が戻れば、自宅に帰ることもあるかもしれない」と考えていました。しかし施設での生活が長くなる中で、日常的に介助を受ける状態が続き、一人暮らしに戻ることは現実的ではないと感じるようになっていきました。
この一言をきっかけに、岡本さんも改めて実家の扱いを見直すことになります。不動産会社に査定を依頼したところ、建物は築30年以上が経過していたこともあり評価はほとんどつかず、査定額は土地を中心に約1,500万円とされました。
「正直、高いとも低いともいえない金額で……」
売ればまとまった資金になる一方で、「すぐに手放すほどではない」と感じる水準でもありました。そのため、岡本さんは決断を迷います。しかし、状況は変わりません。固定資産税や保険料など、年間30万円前後の維持費は、その後も継続して発生し続けました。
住む予定のない家に、毎年同じように費用がかかる――。
その状態が数年単位で続くなかで、「持ち続ける理由」よりも「負担感」の方が少しずつ大きくなっていきました
「このまま空き家の状態が続けば、価値は下がっていく可能性が高いといわれました」
実際、空き家は時間の経過とともに劣化が進み、売却時の条件が不利になることがあります。特に地方では、需要の減少によって売却自体が難しくなるケースも少なくないでしょう。岡本さんはこれまでの負担を振り返り、こう感じたといいます。
「維持できないわけではないけれど、この状態を続ける理由もないと思いました」
最終的に、親子で話し合いを重ねたうえで売却を決断。手続きは数ヵ月で完了しました。売却後、岡本さんは「もっと早く考えて決断するべきだった」と振り返ります。実家は、感情的には「残すもの」と考えがちです。しかし現実には、維持費や管理負担が発生し続ける資産でもあります。今回のように、所有者と費用の負担者が分かれる状態では、判断のタイミングが曖昧になりやすく、結果として時間だけが過ぎていくことになります。
重要なのは、「誰が費用を負担するのか」と「将来的にどう扱うのか」を早い段階で家族間で擦り合わせておくこと。あわせて、売却・賃貸・維持のいずれを選ぶにしても、いつまでに方向性を決めるのか、目安となる時期を設けておくのが現実的です。
空き家は、持ち続けるだけでもコストが発生します。「まだ困っていないから」と先送りせず、費用と将来の見通しを整理したうえで、早めに選択肢を検討しておくことが、その後の負担を大きく左右します。
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