(※写真はイメージです/PIXTA)
連絡不精の息子が、数年ぶりに帰省した“切実な理由”
都内の中小企業に勤めるリョウタさん(仮名/36歳)。大学進学を機に地元を離れて以降、実家とは距離を置いた生活を続けてきました。現在は独身で、都内の賃貸マンションに一人暮らし。仕事や交友関係を優先し、帰省は数年に一度あるかないかという程度でした。
両親との関係が悪いわけではありません。ただ、母親から「元気?」とメッセージが届いても、すぐに返信せず、思い出したらたまに「大丈夫」「忙しい」と短く返す程度でした。電話がかかってきても出ないことが多く、折り返すこともほとんどありません。自分から近況を詳しく伝えることはなく、必要以上に関わろうとはしませんでした。父親とも特別な会話はなく、どこか「干渉されない楽な関係」として距離を保っていました。
一方で、困ったときは実家に戻ればいい、自分の都合を優先しても、最終的にはどうにかなる――そんな甘えがあったのも事実です。
3年ぶりの実家
そんなある日のこと。彼女にも振られ、仕事のトラブルも重なったリョウタさんは自暴自棄になり、「体調の問題で、しばらく仕事休みます」と上司にメッセージを送ると、高速バスに揺られて3年ぶりに地元へ降り立ちました。
深夜の閑静な住宅街。懐かしいはずの家の前に立った息子は、少しだけ安堵した表情を浮かべます。
しかし、カバンから取り出した実家の鍵を差し込もうとした瞬間、手を止めました。鍵が刺さらないのです。
「……あれ? 鍵、替えたのか?」
古いディスクシリンダー錠だったはずの玄関には、見慣れない最新式の電子錠が取り付けられていました。仕方なくインターホンを押すと、廊下の奥から母が歩いてくる気配が。「あ、俺おれ。鍵替えたの? 開けてくんない?」すると、母は玄関の向こうから言いました。
「開けません。もう、あなたの帰る家はない」