回復を待つより、損失を確定させNISAに移したほうが得

〈仮定条件〉

投資直後に-20%、その後+20%で反発し、以後毎年+5%で推移する

まず、一括投資(1,000万円投入)で特定口座640万円部分の扱いを比較します。

◆ケース1.一括投資で、下落直後に特定口座からNISAへ移す場合

NISA口座の360万円は、10年後584万円になります。

一方、特定口座の640万円は、投資直後に20%下落した場合、翌年は512万円、つまり128万円の含み損の状態です。このうち、360万円相当を売却し、NISA口座に充当します(売却時は損失確定のため、税金はかからない)。この360万円は、9年後729万円となります。

そして残りの152万円は、反発(20%上昇)後にNISA口座に移し、8年後には308万円になります。

つまり、10年後は584万円+729万円+308万円=約1,621万円となります。

◆ケース2.一括投資で、回復して利益が出るまで待ってからNISAへ移す場合

ケース1と同様、NISA口座の360万円は、10年後584万円になります。

特定口座の640万円は、整理するうえで320万円ずつに分けます。最初の320万円(A)は、投資直後に20%下落するため256万円になり、翌年308万円になります。

しかし、「まだ元本が回復していない」とあと1年耐えると、369万円になります。元本から49万円増えているため、売却。

すると、税金が49万円×20%=9万円かかるため、手取りは360万円になります。3年目の時点で、この360万円をNISA口座に移します。すると、10年目には507万円になります。

残った320万円(B)も、先ほどと同様に運用すると369万円になりますが、(A)で限度額までNISA口座を使っているため、翌年まで持ち越します。

そして翌年、387万円になった時点で売却すると、元本より67万円利益が出ているため、67万円×20%=13万円税金がかかります。つまり、手取りは374万円です。374万円をNISAで運用すると、10年目には501万円になります

※ 本来は限度額360万円だが、シミュレーションのため誤差としてそのまま運用。

つまり、10年後は584万円+507万円+501万円=約1,591万円となります。

一見、損失がわかった段階でNISAに移すケース1のほうが「みすみす損失を確定した」と感じますが、実際にはケース1のほうが、計算上は30万円ほど多くなる結果となりました。

このような結果になる理由は、「税金」にあります。ケース2では税金の22万円(9万円(A)+13万円(B))が複利運用から抜けるため、その後の成長が抑えられ、差が生じているのです。

■論点2.一括投資vs積立投資

次に、同じV字回復相場で3年間の積立投資(360万円+360万円+280万円)を行った場合、10年後には約1,786万円となりました。この場合、一括投資(1,621万円)より約165万円有利です。

結局、どう投資すればよいかまとめると、以下のとおりです。

・期間中ずっと年利5%で上昇し続ける場合……一括投資が約55万円有利

・投資直後に-20%下落しV字回復する場合……積立投資が約165万円有利

ただし、数値は前提条件(上昇率や変動幅)によって変わるため、参考程度に留めることをおすすめします。