老後資金として最低2,000万円、場合によっては4,000万円や5,000万円が必要と言われる昨今、新NISAでは「1,800万円」の非課税枠をフル活用することがひとつの目安のように語られることがあります。しかし、現実には「そんな大金を用意できない」という人が大半でしょう。そこで今回、非課税枠にこだわらず、老後に備えるための現実的な投資戦略について、具体的なシミュレーションを交えて整理します。
新NISAで1,800万円なんて大金、用意できるかよ…「非課税枠を埋めること」にこだわらない“一般人”の現実的な投資戦略【FPが解説】
新NISA「2つ」の大前提
まず、大前提として押さえておきたい点が2つあります。1つ目は、老後資金として500万円〜1,000万円程度の投資は検討すべきということです。1,800万円という金額にこだわる必要はありませんが、まったく投資をしないままでは老後の不安を解消するのは難しいでしょう。
2つ目は、再現性の高い投資をしようと思った場合、資産の増加幅は「1.5倍〜3倍程度」が現実的だということです。10倍や100倍になるような夢のような話ではなく、長期的に見てこの範囲を想定しておくのが妥当といえます。
いずれにしても、まずは「1,800万円投資しなければならない」という強迫観念を捨て、まずは自分自身の生活設計に向き合いましょう。
具体的には、「自然体で生活した場合、年金プラス月々いくらあれば足りるのか」を把握することがスタート地点です。
通帳を用意して…老後に必要な金額を把握する4ステップ
老後に必要な資金を調べる方法はいくつかありますが、ここでは比較的シンプルな方法を紹介します。
まずは通帳を用意し、下記の手順で「1年間に使ったお金」を算出してみてください。
1.2025年1月1日時点の通帳残高を確認する(①)
2.2026年1月1日時点の通帳残高を確認する(②)
3.1年間に振り込まれた手取り給与の合計を算出する(③)
4.「①+③-②」を計算する
この計算で出た数字が、1年間の支出目安です。ここから、住宅ローンの返済や教育費など、老後には発生しなくなる費用を差し引けば、老後に必要な生活費が見えてきます。
たとえば、老後の生活費が年間300万円で、受け取れる年金が年間200万円だとしましょう(「ねんきん定期便」等でご確認ください)。すると、不足分は年間100万円(月額に直すと約8万円)です。
この100万円をNISAなどで運用しながら取り崩せれば、老後の家計は安定するでしょう。