経済格差が進む日本で「安心の老後」は手に入る?

現在、世の中では経済的格差が広がっています。資産が3,000万円以上ある世帯もあれば、貯蓄ゼロの世帯も少なくありません。

周囲の人々はどれくらい蓄えているのか、そして自分自身はいくらあれば安心して老後を迎えられるのか……悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

データが示す「日本の家計」の過酷な現実

まずは、客観的なデータから世間の実態を整理しましょう。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、2人以上世帯における金融資産の平均値は1,940万円であるのに対し、中央値は720万円となっています。

この1,220万円もの開きこそが、現代日本の「格差」の正体です。平均値は一部の富裕層が引き上げているだけで、実態は中央値、あるいはそれ以下に多くの世帯が集中しています。

さらに、70代(2人以上世帯)に絞ってみていきましょう。金融資産ゼロの世帯を含んだ場合の平均値は2,400万円、中央値は1,100万円でした。しかし、金融資産ゼロの世帯を除くと、平均値は2,700万円に、中央値は1,400万円に、それぞれ300万円ずつ引き上がります。

実は、日本の70代(2人以上世帯)は、金融資産ゼロの世帯が約2割にのぼるのです。よって、「中央値付近だから大丈夫」という安易な安心感は、今の日本では通用しません。

「単身・夫婦別」老後資金の必要額シミュレーション

では、具体的にいくら準備すべきか。総務省の家計調査をベースに、物価上昇や人生の突発的なアクシデントを考慮した「現実的な数値」を算出します。

①単身世帯

単身者の老後における不足額(年金だけでは足りない生活費)は、月に約3万円とされています。

【単身世帯の生涯コストの内訳】

■30年間の不足合計:3万円 × 12ヶ月 × 30年 = 1,080万円

■物価上昇(年2%)の考慮:約1,460万円

■予備費(介護・医療・リフォーム等):500万~1,000万円

これらを合算すると、単身世帯における安心の目安は1,900万~2,500万円となります。

②夫婦世帯

夫婦世帯の場合、月々の不足額は約2万円。単身者より少なく見えますが、ここには大きな落とし穴があります。それは「リスクが2人分」になり、さらに「1人になった時の負担が重い」という点です。

【夫婦世帯の生涯コストの内訳】

■前半15年(夫婦健在時):不足額月2万円(物価上昇込で約416万円)

■後半15年(一方が他界後):不足額月5.3万円(年金が減る一方、広い住宅の維持費は変わらないため。物価上昇込で約1,120万円)

■予備費(2人分の医療・介護・葬儀等):800万~1,200万円

これらを合計すると、夫婦世帯では2,300万~2,800万円が安心できる目安となります。2人で協力できる分、効率的に見えますが、後半の単身期間のコストが家計を圧迫するのです。