都内の大企業に勤めるTさん(59歳・男性)。順調に出世していましたが、月12万円の住宅ローンを支払いながら子供2人を私立大学へ通わせる過酷な舞台裏がありました。学資ローンを組まざるを得ないほどに追い詰められた家計の先に、ようやく見えた「教育費からの解放」。しかし、Tさんはそこで喜びではなく、「虚しさ」を覚えることになります。一体、何が待ち受けていたのでしょうか。
(※写真はイメージです/PIXTA)
教育費からの解放と、終わりのない「貯金生活」
会社で昇格し、給料が上がるたびに、それを追いかけるように子供たちの教育費も膨らんでいきました。
「今振り返ってみると、年収が上がっても教育費が増えていくばかりで、生活水準はまったく上がりませんでした。でも、そのおかげで無駄遣いをする習慣がつかず、質素な生活を維持できたのはよかった点かもしれませんね。あくまで強がりですけど」とTさんは語ります。
Tさんが55歳のとき、下の子が無事に大学を卒業し、社会人として独り立ちしました。そこでようやく、長年苦しめられてきた教育費の支払いから解放されたのです。
「子供たちが独立してから定年が見えてくるまでの数年間、生活水準を上げずに急いで老後資金の貯金をしました。この数年間がなければ、私たちの老後は完全に破綻していたでしょうね」
無事に子育てを終えた今、Tさんは自分の人生を振り返り、ふと虚しさを覚える瞬間があるといいます。
「高い税金を払い、自分へのご褒美もなく、子供たちを育て上げました。ようやく学費の支払いから解放されたと思ったら、今度は自分たちの老後資金のために必死で貯金です。結局、稼いでも稼いでも『貯めるばっかり』で、自分たちのために使えるお金なんてほとんどないんですよね」