老後の生活費と不足額は?

総務省「家計調査報告2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、高齢夫婦無職世帯の可処分所得は月22万1,544円であるのに対し、支出は月26万3,979円でした。

つまり、月あたり約4万2,000円の不足が発生し、これを30年間続けると約1,500万円の赤字となります。さらに物価上昇を加味すれば、不足額はさらに膨らむでしょう。

ただ、ここで大切なのは「一般論」ではなく「あなたにとって」の数字です。年金制度の最も怖い点は、受け取りを開始してから不足に気づいても手遅れになることです。準備は受け取り開始前に行わなければなりません。

年金を受け取る前に済ませておきたい“事前準備”

まず、自分の受け取れる年金額を正確に把握してください。平均値に頼るのは危険です。

月12万円か14万円か16万円かで、30年間の差額は720万円~1,440万円にもおよびます。「ねんきん定期便」や年金事務所で自分の具体的な額を確認することが第一歩です。

次に、老後の生活費を明確にしましょう。上記平均は月26万3,979円でしたが、住宅費(持ち家か賃貸か)や車、旅行などの項目によって大きく変わります。

現在所有している通帳をすべて調べて、1年間の実際の支出を算出してください。2026年1月1日の残高から、2025年の手取り収入を差し引いた額が1年間の生活費です。この数字がわかれば、毎月の不足額が明確になります。

不足額がわかったら、次は具体的な対策です。ポイントは3つあります。

1.働く期間を延ばす

65歳で完全リタイアするイメージが強いですが、必ずしも同じ仕事を続ける必要はありません。66歳から70歳まで年間100万円のバイトでも十分です。5年間で500万円確保でき、不足額を大きく軽減できます。好きな仕事やできる仕事を選べば、負担も軽くなるでしょう。

2.支出を削減する

固定費を月2万円下げることができれば、30年間で720万円浮きます。固定費とは、保険やスマートフォンなどの通信費、住宅費などが対象です。ただし、食費や光熱費、自動車保険の対人・対物部分など、命や賠償に関わるものは削ってはいけません。ここの線引きは重要です。