今年3月、中東不安と原油高の影響から、米国株をはじめ世界の株価が下落しました。4月に入って反発の動きがみられるものの、先行きには依然として不透明感が残ります。こうしたなか、不安定な相場環境を嫌気して投資を止めようか迷っている人もいるのではないでしょうか。今回、YouTubeチャンネル登録者数約40万人を誇る鳥海翔FPが、米国株の下落要因を分析するとともに、今後の株価の動きを予想します。
「米国株はバブル」「米国株はもう上がらない」…下落局面で聞こえてくる「弱気発言」は無視していい【FPの助言】
3月の下落から一転、過去最高値へ…2026年米国株の行方
2024年から2025年にかけて急騰を続けた米国株は、2026年に入って一転、3月末にかけて下落基調が続いていました。中東情勢の緊迫化やこれにともなう原油価格の高騰などが背景にありましたが、この時期「米国株はバブルだった」「米国株はもう上がらない」といった意見も少なくなかった印象です。
しかし、2026年4月15日、米S&P500は終値ベースで初の7,000ポイント超えとなる7,022.95を記録し、過去最高値を更新するなど、指数は3月30日を底値にV字回復しています。
では、2026年の米国株はどのような動きが予想されるのか、市場のネガティブな意見を真に受けるべきなのか、考えていきましょう。
株価下落の背景にあった「投資家の期待値」低下
株価は「EPS(企業の1株当たり利益)×PER(株価収益率)」で決まります。PERは投資家の期待や不安を反映したものです。今回の下落が企業の利益減少によるものなのか、それとも投資家の期待値低下によるものなのかを整理すると、答えは後者でしょう。
なぜなら、EPSは四半期ごとに発表されるため、2026年1〜3月期の決算は4月末〜5月初旬ごろにならないと出てきません。今回の下落が本格化した2月末以降も、EPSの数値はまだ確認できていない段階です。それにもかかわらず株価が下落しているということは、企業の実際の利益が悪化したわけではなく、投資家の期待(PER)が低下した結果だと考えられます。
過去の推移をみても、S&P500のEPSは2022年以降、毎年10%前後の水準で着実に増加してきました。利益は右肩上がりなのに株価が下がっているのですから、PERの低下が主因であることは明らかでしょう。
PERが低下した背景には、主に2つの要因があります。
1.中東情勢の緊迫化
2月末に始まった戦争により、投資家は将来の見通しが読みにくくなりました。不確実性が高まると、投資家はリスクを避けようとするためPERが低下します。ただし、戦争が長期化するなかで徐々に状況が読みやすくなれば、PERは回復に向かう可能性が高いでしょう。
2.原油価格高騰に伴う金利上昇懸念
ホルムズ海峡の閉鎖懸念などで原油価格が上昇すると、ガソリンや電気料金、物流コストなど幅広い物価が押し上げられます。これにより、FRBが利下げに慎重になるとの見方が強まり、実際の市場金利も上昇しました。
投資家は「金利が高止まりすれば企業の業績に悪影響が出る」と判断し、株から債券へ資金をシフトさせたのです。結果として、PERは2026年3月末時点で19.6〜20倍程度まで低下しました。
これは適正範囲(15〜20倍)とされる水準に近づいており、極端に割高だった状況は是正されたといえます。
