老後の生活を支える年金。しかし、ある日突然、身に覚えのない減額に驚くケースは少なくありません。そこには、単なる物価の変動や制度改正だけではない、ある「手続き」が深く関わっていました。 千葉県に住む男性のケースを通じ、年金振込額を左右する要因について詳しくみていきます。
「なにかの間違いでは…」年金月20万円・72歳元教員、2月の年金振込額に異変。原因は「出し忘れた1枚の書類」 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ手取りが減るのか? 年金振込額が変わる「3つの主な要因」

ある日突然「年金の手取り額」が減ってしまう事態には、主に3つの公的な仕組みが関係しています。

 

第一に、今回のような「扶養親族等申告書」の未提出です。日本年金機構の規定によれば、この書類を提出しないと配偶者控除などの人的控除が適用されないだけでなく、所得税率が本来の5.105%から10.21%へと「約2倍」に跳ね上がります。手続き漏れにより、本来不要なはずの税負担を一時的に強いられているケースは珍しくありません。

 

第二に、社会保険料の改定です。介護保険料は3年ごとに見直されるほか、前年の所得確定に伴い毎年6月に徴収額が更新されます。特に住民税課税世帯になった場合、自治体によっては介護保険料が数段階上昇し、結果として数千円単位の天引き額増となることがあります。

 

第三に、「振替加算」の終了や「加給年金」の停止です。これらは受給者本人の年齢や配偶者の年金受給開始に伴い、自動的に停止される仕組みです。物価スライドによる受給額の微増以上に、これらの加算終了による減額幅が大きい場合、トータルの振込額は減少します。

 

総務省『家計調査 家計収支編 2025年平均』では、高齢世帯の家計における「非消費支出(税・社会保険料)」の割合が増加傾向にあることが示されています。田中さんのケースのように、年金受取額の額面だけを追うのではなく、10月や1月に届く「通知」を見逃さないことが重要です。