長年勤めた会社を退職し、年金をベースとした穏やかな老後を送っていたものの、良かれと思って行った手続きによって、なぜか手取り額を減らす結果となってしまいました。 ある男性のケースから、知られざる負担増の仕組みについてみていきます。
えっ、こんなに引かれるのか…「年金月19万円」70歳男性、確定申告で知った「手取り激減」の理由。区役所で告げられた「もう一つの負担」に思わず絶句 (※写真はイメージです/PIXTA)

確定申告が「手取り」を減らす落とし穴

年金受給者が所得税の還付を受けようと確定申告を行う際、注意すべきなのが「合計所得金額」の増加に伴う影響です。上場株式の配当金は、通常であれば支払い時に約20%(20.315%)の税金が源泉徴収されており、申告不要制度を選択することができます。

 

しかし、総合課税や申告分離課税として確定申告を行い、住民税でも申告した所得として扱われる場合、その配当所得は自治体が算出する住民税や社会保険料の算定基礎となる所得に含まれることになります。

 

特に影響が大きいのが、住民税の課税状況と連動する介護保険料です。多くの自治体において、介護保険料は本人や世帯の住民税課税状況、および合計所得金額に基づき、段階的な区分で設定されています。佐々木さんのように、わずかな配当所得を加算したことで所得区分が一段階上がってしまうと、年間の保険料が数万円単位で増額されるケースは珍しくありません。

 

また、住民税の増額以外にも、以下のような制度に影響が及ぶ可能性があります。

 

●国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の増額: 所得割額の計算対象となる所得が増えるため。

●医療費の自己負担割合や各種所得区分の判定への影響: 所得状況の変化により、医療制度上の区分が変わる可能性がある。

●高額療養費の上限額変更: 所得区分が変わることで、月ごとの自己負担限度額が高くなる。

 

還付される所得税額よりも、増大する住民税や保険料の負担が上回る「逆転現象」を防ぐためには、申告前に住民税への影響を試算することが不可欠です。