親元を離れて暮らす学生の生活実態を、正確に把握することは容易ではありません。「しっかりやっている」と信じた先にあるのは、想像しなかった現実。ある父子のケースをみていきます。
月収47万円・49歳父の痛恨。「深夜2時の不在着信」を“間違い”と信じて4ヵ月、大学からの通知と長男の告白に絶句 (※写真はイメージです/PIXTA)

長男からの深夜の不在着信…気に留めていなかったが

地方在住の会社員、田中正樹さん(49歳・仮名)は地元の中堅企業に勤務し、月収は約47万円ほど。妻と高校生の次男との3人暮らしで、住宅ローンと次男の教育費を抱えています。

 

都内の私立大学2年生である長男の悠斗さん(20歳・仮名)は、進学を機に一人暮らしを始めました。田中さんのスマートフォンには、1年次の悠斗さんがサークル活動やアルバイト先での食事を楽しむ写真が保存されています。

 

しかし、大学2年の夏ごろから、LINEの返信が遅れ、電話にも出ない状況が続いていました。田中さんは「大学生なので忙しいのだろう」と判断し、特段の確認は行いませんでした。

 

朝、目が覚めた田中さんがふとスマートフォンを確認すると、悠斗さんからの着信。時間は深夜2時。何度か折り返したものの、悠斗さんとは連絡がつかず。翌朝、悠斗さんから「間違えた」とLINEが入ったそうです。

 

「着信があったのが時間も時間だったので、本当に間違いだったと素直に受け取ってしまったんです」

 

4ヵ月後、田中さんの自宅に大学から「履修状況に関する通知」が届きました。書類には、取得単位数が著しく少ない事実が記載されていました。田中さんが電話で問い詰めると、悠斗さんは当初「問題ない」と繰り返しましたが、次第に現状を話し始めました。

 

きっかけは、夏休み明けの軽微な体調不良でした。数日間授業を休んだことで、講義内容の理解が追いつかなくなり、課題の提出が遅れ始めました。「一度遅れると、取り戻すのが難しくなった」と悠斗さんは説明しています。

 

さらに、学費や生活費の足しにしていた飲食店でのアルバイトにおいても、ミスが重なったことで精神的な負荷が増大しました。大学へ行くための電車に乗ろうとすると動悸がするようになり、外出自体が困難になったといいます。日中の大半をカーテンを閉め切った室内で過ごし、食事も不規則な状態が続いていました。

 

「親に言うと心配すると思った」

 

悠斗さんは、経済的な負担をかけている親に対し、自身の不調を言い出せずにいました。田中さんは話します。

 

「うちも家計に余裕があるわけではありません。私立大学の学費、仕送り、住宅ローン。助けたいのは当然ですが、すぐにどう動けばいいのかわからなかった。父親として情けないと思いました」

 

最終的に、親子は大学の学生相談窓口を利用し、メンタルヘルス面と履修継続のサポートを受けることになったといいます。