高年収、大手企業勤務、都内の資産価値の高いマンション。一見、盤石に見える家計が、特定の条件下で急速に資金ショートを起こすケースがあります。ある男性のケースをみていきましょう。
年収1,200万円・45歳エリートの誤算。8,200万円マンション購入5年後、「売却」しか選べなかった理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

共働き世帯の「年収の激変」というリスク

厚生労働省『厚生労働白書(令和6年版)』等によると、共働き世帯数は1,200万世帯を超え、専業主婦世帯の約2.5倍に達しています。世帯年収の合算を前提とした住宅ローン借入が一般化する一方で、配偶者の「就業不能」への備えは、死亡保障に比べて手薄になりがちです。

 

内閣府『男女共同参画白書』等では、育児期における女性の不本意な非正規化や離職、いわゆる「L字カーブ」の問題が指摘されています。また、産後うつを含むメンタルヘルス不調による休職・離職リスクも無視できません。

 

不動産価格の高騰局面(国土交通省『不動産価格指数』によれば、東京都のマンション価格は2013年比で約2倍に上昇)であれば、売却による精算が可能です。しかし、昨今は新築マンション価格の高止まりにより「高額・長期・変動金利」のローンが常態化しており、わずかな金利上昇や収入減が即座に「返済負担率」の限界突破を招きます。

 

解決策として重要なのは、団信だけでなく、配偶者の「就業不能保険」の検討や、生活予備費の確保です。金融庁の「金融リテラシー調査」でも指摘されている通り、家計状況を夫婦間で透明化し、どちらか一方が就業不能になっても固定費を賄えるかという「最悪のシナリオ」に基づいたシミュレーションが不可欠といえます。