毎年誕生月に送付されるねんきん定期便について、“忙しいからきちんと確認していない”という人は多いです。こうしたなか、いざ定年前になってじっくり確認してみると、記載された「想定外の年金額」に衝撃を受けるケースも……。事例をもとに、高年収の人ほど陥りやすい「年金の落とし穴」をみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
なにかの間違いでは…年収1,300万円の59歳サラリーマン、日本年金機構から届いた「青色の封筒」の中身に不信感→年金事務所で告げられた“信じたくない事実”【CFPが「厚生年金の落とし穴」を警告】
年収1,300万円の“おひとり様”に訪れたピンチ
中堅商社に勤める会社員のタクマさん(59歳・仮名)。特定のパートナーはおらず、一人暮らしです。現在の年収は1,300万円ほどあります。
そんなタクマさんは、夢を追い挑戦を重ねる人生を送ってきました。幼少期からサッカーに打ち込み、大学卒業後は単身でスペインへ渡り、約3年間のサッカー留学。帰国後は日本企業に就職し、5年間ほど会社員として働きますが、その後いったん退職し、貯金を元手に今度は世界各国を旅しました。
旅行を終えたあとは、約1年の空白期間を設けたのち、外資系の中堅商社へ転職。持ち前のコミュニケーション能力とスタミナを武器に着実に成果を上げ、そこからは約20年にわたり、高年収を維持しながら働き続けています。
そんなタクマさんも、いよいよ60歳の定年が目前に迫っています。定年後は、現在の貯金500万円と退職金を活用し、年金を受け取れる65歳までのんびり過ごすつもりです。
そんなある日のこと。自宅の郵便受けにねんきん定期便が届いていることに気づきました。これまで仕事に追われる日々のなかで、ねんきん定期便をじっくり確認したことはほとんどありません。
「定年も近いし、一度きちんと見ておくか」と思ったタクマさんは、さっそく青色の封筒を開きました。
ねんきん定期便の「受給見込額」に違和感
「年収1,300万円もあるんだから、年金もそれなりだろ」
そんな気持ちで確認したタクマさんでしたが、記載されていた年金受給見込額を見て、思わず手が止まりました。
記載されていた金額は、月額にしておよそ12万円。タクマさんはその金額に驚きを隠せません。
「なにかの間違いでは」と不信感を抱いたタクマさんは、金額だけでなく、加入期間やこれまでの経歴などを一つひとつ確認。そこである記憶がよみがえりました。
「そういえば、留学や旅をしていた時期、10年近く年金払ってなかったな……」
タクマさんは真相を確かめるため、年金事務所に向かいます。