ドラマでよく見る、ピーッと音がして心電図モニターの波形が一直線になり、脈拍が0になるシーン。実際に人が亡くなる現場において、ドラマのような状況は一例に過ぎません。本記事では、高島亜沙美氏著・西智弘氏監修『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』(KADOKAWA)より、「人が亡くなったあと」のリアルに迫ります。
ドラマでは描かれない「ご臨終」のあと…日本で「死亡してから24時間は火葬してはいけない」理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

死亡診断書に必ず書かれる「死因」

死亡診断書――医師が書くその人が亡くなったことを証明する書類ですが――これには必ず診断名を書かなくてはなりません。大腸がんとか老衰とか、その人を死に至らしめた理由を記載するんです。

 

日本では少数だと思われますが、刺殺や焼死など事件性を有するような可能性がある場合には、検死をしなくてはなりません。この人が亡くなったことに、事件性があるのかないのかを医師が証明しなくてはならないんですね。

 

コロナ禍に自宅で倒れひとりで亡くなっていた事例も、例外なく検死を受けているはずです。もしかしたら、誰かに毒を盛られたかもしれないですし、一酸化炭素中毒による自殺かもしれないですからね。だから、死亡診断書と死体検案書は共通の用紙になっており、どちらかを二重線で消して提出するという運用になっています。

 

ちなみに、病棟では死体検案書の箇所を二重線で消すしかありえません。全身挫滅なんて診断名、おそらくそれを診断した医師も、生涯ただ一度しか使わないような死因だと思われます。

 

死の3つの兆候を確認することもできなければ、検死も解剖もできない状態のご遺体なんて、そうありませんからね。

人が亡くなったあとのプロセス

ここから先は、死んだことを確認するプロセスにうつります。医療機器を外し、挿入されていた管の類を抜き、身体をきれいに整え、お見送りをするプロセスです。

 

多くの場合で看護師が発見&報告し、医師により確認がおこなわれます。呼吸停止・心その時を確認する停止・瞳孔散大を確認し、カルテに時刻を記すんです。この時刻が、死亡時刻になります。これは、死亡診断書にも書く大事な事項です。

 

話がちょっと逸れますが、日本では死亡してから24時間は火葬してはいけないと法律で決められています。これは死亡診断を受けた人が、蘇生する可能性が絶対にないことを確認するため。他の国、宗教でも似たような話があるのを聞いたことがある人もいるかもしれません。

 

実際に人が亡くなるときって、ドラマみたいにピーッと脈拍が0になる人もいれば、にわかには信じられないかもしれませんが、0になったりまた復活したりを繰り返すという人もいるんです。わたしの直近のお看取りも、30分くらい0になったり復活したりを繰り返していました。三途の川を行ったり来たりしていたのかもしれませんね。

 

いまの医療技術、診断基準で死亡を確認してはいますが、それでも生き返る人がいないことを確実にしておきたい、そのための24時間なんだと、わたしは捉えています。