「介護保険制度」ができたのは、2000年のこと。急速な高齢化と女性の社会進出などを背景に創設された同制度は、それから約30年、在宅サービスの充実をはじめ一定の成果をあげてきました。その一方で、3年ごとの制度改正を経てもなお、近年はその“疲れ”が顕在化しつつあるようです――。高島亜沙美氏著、西智弘氏監修の書籍『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』(KADOKAWA)より、介護保険制度の成り立ちと現状について、本記事でくわしくみていきましょう。
〈嫁〉には頼れないから…病気が治っても高齢親を病院に預けておく「社会的入院」が深刻化したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

介護保険制度導入で起こった「4つの変化」

2000年4月の制度施行に向けて、全国の市町村では介護保険事業計画の策定や要介護認定の準備、保険料の設定など、様々な準備作業がおこなわれました。また、介護サービス提供事業者の指定や監督体制の整備も進められます。

 

結果として介護保険制度の導入により、下記のような変化があったとされています。

 

1.措置制度から契約制度への転換により、利用者の選択権が拡大

2.在宅サービスの充実と利用の増加

3.介護サービス市場の形成と民間事業者の参入促進

4.介護の社会化の進展

 

特に、措置制度から契約制度になったことが一番大きいように思います。サービスを利用するには、利用者がはじめにアクションを起こさないといけないからです。与えられるのを待つだけではなく、主体的に動かないと権利を手に入れられないというスタンスは、これまでの社会サービスではあまり見られなかったと思われます。

3年ごとの制度改正も…なお残る「課題」

一方で、制度導入時から下記のような課題も指摘されていました。

 

1.保険料負担の妥当性

2.サービスの質の確保

3.介護人材の確保と処遇改善

4.地域間格差の是正

 

これらの課題に対応するため、3年ごとの制度改正がおこなわれ、地域包括ケアシステムと呼ばれる高齢者の暮らしを支えるシステムの構築や介護予防の強化など、様々な施策が実施されてきました。

 

介護保険制度の導入は、日本の社会保障制度の歴史における大きな転換点のひとつ。ケアや介護が嫁を含む家族によってタダで提供されるものではなく、お金のかかるサービスだという位置付けになったことが大きいです。

 

高齢者の尊厳を守り、自立した生活を支援するという理念のもと、介護の社会化を実現する仕組みとして定着し、現在も発展を続けていますが、もうそろそろ限界なのでは?と感じています。

 

 

高島 亜沙美

看護師/保健師