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年金は原則「申請主義」…知らないと受け取れない加算制度も
日本の公的年金制度は、原則として「申請主義」に基づいて運用されています。一定の年齢や要件を満たした場合でも、本人が裁定請求(受給申請)を行わなければ、年金は支給されません。
もっとも、日本年金機構からは受給開始年齢前に「年金請求書」が送付されるなどの案内は行われています。しかし、加算制度や選択制度の一部については、申請や届出がなければ反映されないケースもあり、制度理解の有無が受給額に影響する場合があります。
そこで、誤解されやすい代表的な制度をみてみましょう。
■加給年金
厚生年金に原則20年以上加入している人が65歳に達した際、生計を維持している一定要件を満たす配偶者や子がいる場合に加算される制度です。主な要件は以下のとおりです。
・配偶者が65歳未満であること
・配偶者の前年収入が一定基準以下であること
・生計維持関係があること
加給年金は、老齢厚生年金の裁定請求時に配偶者情報を届け出ることで支給対象となります。要件確認が必要なため、自動的に加算される仕組みにはなっていません。なお、2025年度水準では、配偶者に対する加給年金額(配偶者特別加算額を含む)は年間約40万円です。
■振替加算
加給年金の対象となっていた配偶者が65歳に到達すると、加給年金は終了します。その代わり、一定の生年月日要件を満たす場合には、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。振替加算も対象要件を満たすことが必要であり、状況によっては届出が必要になる場合があります。
■特別支給の老齢厚生年金
1961年4月1日以前生まれの人など、一定の生年月日に該当する場合、65歳前に「特別支給の老齢厚生年金」を受給できるケースがあります。この年金も裁定請求が必要であり、請求しなければ支給は開始されません。
■障害年金と初診日の重要性
障害年金では「初診日」が受給可否を左右します。初診日の証明が困難な場合、請求が認められないケースもあります。早期の相談や記録の保存が重要とされています。
■遺族年金と老齢年金の選択
配偶者が亡くなった場合、遺族年金と自身の老齢年金をどのように組み合わせるかによって受給額が変わることがあります。原則として有利な組み合わせが適用されますが、個別事情によるため確認が必要です。
■5年の時効
年金には5年の時効があります。受給権が発生してから5年を経過した分は、原則として請求できなくなります。請求が遅れた場合でも、5年以内であれば遡って支給されます。
年金制度では、個々の収入状況や生計維持関係などを確認する必要があるため、すべてを自動的に判定・加算する仕組みにはなっていません。一方で、制度が複雑であることは事実であり、加算制度の存在を知らないまま手続きをしていない例があることも。制度を正しく理解し、疑問があれば早めに年金事務所などで相談することが、適切な受給につながります。