自分の意思を示す「生前対策」の重要性

今回のケースのように、法定相続人以外の人に遺産を遺したい場合、もっとも一般的な方法は「遺言書」を作成することです。ただし、自筆証書遺言は紛失や形式不備による無効リスクがあるため、確実性を求めるなら「公正証書遺言」が望ましいでしょう。

とはいえ、公正証書遺言は手続きのハードルが高いと感じる人も少なくありません。

そこで義母が選んだのが、「死亡保険金」という形でマユミさんに財産を遺す方法でした。死亡保険金は遺産分割協議の対象にならず、受取人固有の財産として扱われます。そのため、マユミさんは確実に1,000万円の保険金を受け取ることができるのです。

ただし、法定相続人以外の人が財産を受け取る場合には、相続税の取り扱いに注意が必要です。

まず、生命保険金には「法定相続人1人につき500万円」の非課税枠がありますが、法定相続人以外の人が受け取る場合、この非課税枠は適用されません。そのため、受け取った保険金の全額が相続税の課税対象となります。

また、相続税の税率は10%から55%までの累進課税で、実際の税額は遺産全体を合算したうえで各人の取得割合に応じて計算されます。さらに、法定相続人以外の人が相続する場合は相続税が2割加算されるため、税負担が重くなる可能性があります。

この2割加算は、生命保険に限らず、どのような財産を取得した場合でも同じです。

もし、相続人以外の人に財産を遺したい場合は、生前贈与や遺言書の作成、生命保険の活用など何らかの事前対策を講じておくことをおすすめします。

山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表