相続では通常、法定相続人と呼ばれる「亡くなった人の財産を相続する権利を持つ人」のなかで行われます。そしてこの法定相続人の範囲に、家族の配偶者は含まれません。では、法定相続人以外に財産を遺すためにはどのような対策が必要なのか、事例をもとに見ていきましょう。
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「献身的な義娘」と「なにもしない娘」
実はマユミさんは、義母が亡くなるまで約6年ものあいだ、ほぼ1人で義母の介護を担ってきました。
マユミさん自身は実母を早くに亡くしていたため、義母を本当の母のように慕っていたことから介護することに不満はなく、愚痴をこぼすこともほとんどありませんでした。義母もまた、マユミさんを深く信頼し、献身的な介護にいつも感謝していたといいます。
一方のクミコさんはというと、母のもとに顔を出すのはせいぜい3〜4ヵ月に1回程度。特に介護を手伝うわけでもなく、いつもマユミさんが用意した夕食だけは平らげて帰っていきます。
そんな対照的な2人の姿を見ていた義母は、「なんとかしてマユミさんにも財産を遺したい」という思いを強めていったようです。義母はコウイチさんに相談し、1,000万円の死亡保険金の受取人をクミコさんからマユミさんへ変更。さらに、遺言書も作成していました。
その内容は下記のとおりです。
「財産は、長男と次男で話し合って2人で分けること。長女へは、遺留分以外の財産は渡さない」
相続の基本
相続人の範囲や法定相続分は、民法により下記のように定められています。
■相続人の範囲
相続順位は次のとおりです。上の順位に該当する人がいない場合に下に繰り下がります。
・配偶者:常に相続人
・第1順位:子供や孫(死亡した人により近い世代が優先)
・第2順位:父母や祖父母(死亡した人により近い世代が優先)
・第3順位:死亡した人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合はその子ども)
■法定相続分
民法に定める法定相続分は次のとおりです。
・相続人が「配偶者」と「子ども」の場合
……配偶者:2分の1、子ども:(全員で)2分の1
・相続人が「配偶者」と「直系尊属(父母、祖父母)」の場合
……配偶者:3分の2、直系尊属:(全員で)3分の1
・相続人が「配偶者」と「兄弟姉妹」の場合
……配偶者4分の3、兄弟姉妹(全員で)4分の1
子どもや兄弟姉妹が複数人いる場合、原則、そのなかで均等に分けます。たとえば、夫が亡くなり相続人が妻(配偶者)と子ども2人だった場合、子ども1人あたりの法定相続分は4分の1となります。
なお、法定相続分は、あくまで相続人の間で遺産分割に合意ができなかったときの民法に定める持ち分。有効な遺言書などがある場合は、遺言書の相続割合が優先されます。ただし、配偶者や子どもには「遺留分」が認められているため、「全財産を特定の1人に譲る」という遺言書があっても、最低限の取り分は認められます。