長引く物価高騰は、中間層と呼ばれてきた現役世代の生活をも確実に変えています。平均的な水準よりも上の収入であっても、教育費や住宅ローン、そして跳ね上がる食料品価格の前に、日々の献立に頭を悩ます……。こうしたなか、浮上している「食料品の消費税2年減税」。もし実現すれば、一般家庭でどれほどの負担減となるのでしょうか。また、その負担減を素直に喜んでいいのでしょうか。考えていきます。
牛肉は滅多に買えません…年収800万円・51歳課長の落胆。「食料品減税」で年5万円強の負担減を待ち望む「切実事情」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収800万円、氷河期世代の父親が直面する限界

「正直にいって、今の生活は『中流』とはほど遠いものです。レジで合計金額が出るたび、何かを間違えたのではないかと、自分の記憶にある価格との乖離に戸惑います」

 

都内の中堅企業に勤める高橋健一さん(51歳・仮名)。高橋さんの年収は約800万円です。いわゆる「就職氷河期」を生き抜き、現在は課長職として責任ある立場を任されています。妻と高校生、中学生の息子の4人家族。世間一般で見れば安定した家庭に見えますが、その実態は綱渡りだといいます。

 

「20年前に組んだ住宅ローンの返済に加え、長男の大学受験に向けた塾代が月に8万円近くかかっています。さらに追い打ちをかけるのが、毎日の食費です。食べ盛りの子どもが2人いれば、食費を削るわけにはいきません。数年前までは月に8万円台で収まっていましたが、今は特に贅沢をしていないのに11万円を超えます。私の小遣いは削られ続け、今や昼食をワンコインの弁当にすることすら躊躇するようになりました」

 

この10年ほどを振り返ると、昇給はあったものの、手取り額はほとんど増えていないとのことです。

 

「最近は、スーパーの特売カゴに入れられた『半額シール』のパンや総菜を、迷わず手に取るようになりました。昔は抵抗があったのですが、今はまったく気になりません。子どもたちは育ち盛りだから、肉料理は欠かせませんが鶏肉ばかり。ささみや胸肉など、できるだけ安いものを選びます。牛肉なんて滅多に買うことはありません。たまには家族で外食に、と思っても、結局は回転寿司で皿の数を数えてしまう。そんな自分にがっかりすることばかりです」

 

【牛肉100グラムの価格推移】

(輸入品/国産ロース )

2021年12月:308円 / 859円

2022年12月:336円 / 864円

2023年12月:359円 / 857円

2024年12月:382円 / 883円

2025年12月:391円 / 898円

※出所:総務省統計局『小売物価統計調査』より

 

そんな高橋さんが待ち望んでいるのが、消費税の減税。少しでも家計が楽になれば、「その分、牛肉が買える」と期待を寄せています。