日本の家庭において、家計の管理をどちらか一方が担っているケースは少なくありません。長年、連れ添った夫婦であっても、お互いの「財布の底」まで完全に把握しているとは限らないものです。老後資金への不安が叫ばれる昨今、多くの世帯が慎ましく年金生活を送るなか、ある日突然、長年隠されてきた「家計の真実」が明かされることがあります。今回は、結婚50年目を迎えた夫婦の事例を通じ、現代の高齢世帯における資産形成の在り方と、その背景にある経済状況について専門的な視点から紐解いていきます。
「もう黙っているのは限界でした…」年金月10万円・70歳妻、50年間言えずにいた秘密を暴露。72歳夫「嘘だと思いました」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者世帯の資産状況と「投資」への意識変化

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査 令和5年』によると、70代の現在保有している金融商品は、「預貯金」を除き最も多いのが「株式」で全体の39.1%。「投資信託(MRF、MMF、REITなどを含む)」が26.8%、「個人年金保険」17.5%と続きます。さらに(金融資産保有世帯の)金融資産保有額をみていくと、70代の平均値は2,188万円。一部の富裕層が平均を押し上げている側面があり、中央値で見ると1,100万円まで下がります。

 

【70代の金融資産保有額(金融資産保有世帯に限る)】

・500万円未満:27.6%

・500万~700万円未満:7.7%

・700万~1,000万円未満:7.2%

・1,000万~1,500万円未満:12.7%

・1,500万~2,000万円未満:8.2%

・2,000万~3,000万円未満:9.1%

・3,000万円以上:24.3%

※無回答3.2%

 

高齢者における投資意欲は、年年上昇傾向にあり、同調査の令和元年(2019年)では、「株式」の保有割合は22.0%でした。5年ほどで17ポイントも上昇しています。

 

その背景として、金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」に端を発した、いわゆる「老後2,000万円不足問題」があるでしょう。老後不安が広がるなか、“貯蓄から投資へ”の流れを加速し、家計の資産形成を支援するNISA制度も広く浸透し、高齢者にとっても投資は身近になりました。

 

高齢者は「今から投資を始めるのは遅いだろうか……」と思いがちですが、年金を補完する安定的な収入、インフレに備えた資産の目減り防止、将来の医療・介護費用への備えとして、ひとつの選択肢ではあります。

 

しかし、高齢者が現役世代と同じ発想・手法で投資を始めるのは危険であり、生活費・緊急資金には絶対に手を付けないことが大前提。「資産を大きく増やすこと」ではなく、「生活の安定を補完すること」を目的に、「シンプルかつ、低リスク」を最優先することが不可欠です。