老後の安心と孫に囲まれた賑やかな暮らしを夢見て、「二世帯住宅」を選択するケースも少なくありません。しかし、良かれと思って投じた多額の資金が、時として家族の絆を壊し、老後の生活設計を根本から揺るがすリスクを孕んでいることは、意外と知られていないのが実情です。
「私が全額出したのに…」退職金3,000万円を投じた70歳男性の絶望。二世帯住宅で娘から「出て行って!」と罵声を浴びせられたワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

統計から見る「二世帯同居」の満足度とキッチン共有の罠

二世帯住宅でのトラブルは、最悪の場合、別居に至ることもあります。国土交通省の「住生活総合調査(令和5年)」などの調査結果を踏まえると、親世代と子世代が同居する際には、物理的な独立性(玄関、キッチン、浴室などが別々)が高いほど、居住満足度が高くなる傾向にあります。

 

【二世帯住宅「キッチン」を共有する場合のストレス】

■使用時間帯の重なり

朝の準備や夕食の時間など、両世帯の生活リズムが重なると、キッチンを使いたいタイミングで使えない不自由さが生じます。

■食習慣・好みの違い

食事の内容(和食・洋食、味の濃さ)だけでなく、調理家電の配置、冷蔵庫内のルール、片付け方、洗浄後の食器の置き場所など、微細な食習慣や美意識のズレが毎日蓄積していきます。

■衛生観念のズレ

「シンクに洗い物を残すか否か」「汚れをいつ拭くか」など、細かい衛生ルールの違いが、大きなストレスの要因となります。

 

株式会社AlbaLinkが既婚男女499人を対象に行った『二世帯住宅の間取りに関する意識調査』によると、「二世帯住宅にするなら間取りはどうする?」との問いに対して、79.8%が「完全分離型」と回答しました。一部共有型は資金面でのメリットはあるものの、支持は15.8%に留まっています。

 

二世帯住宅を検討する際は、感情的な結びつきだけでなく、万が一の別居リスクを考慮した「資金の残し方」と、生活動線を徹底的に分ける間取りの選択が、成功のポイントといえそうです。

 

[参考資料]

株式会社AlbaLink『二世帯住宅の間取りに関する意識調査』