(※写真はイメージです/PIXTA)
5割以上の高齢者世帯が「生活が苦しい」。統計から見る年金生活の厳しさと背景
高度経済成長期を支え、実直に働いてきた世代が、リタイア後に生活困窮に陥る――。これは佐藤さん夫婦に限ったケースではありません。
厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の総所得は314.8万円と、全世帯平均536万円を大きく下回っています。また総所得の平均63%が公的年金であり、実際、収入のすべてが公的年金というケースは4割にも達します。また高齢者世帯の生活意識をみていくと、55.8%が「生活が苦しい(大変苦しい、やや苦しいの合計)」と訴えているのです。。
年金に依存しがちな高齢者世帯。そこに物価高が襲います。そもそも年金の給付額は「マクロ経済スライド」によって調整を行っていますが、これは現役世代の減少や平均余命の伸びに合わせて給付を抑制する仕組みであり、物価の上昇分がそのまま年金額に反映されるわけではありません。そのため、インフレ局面においては、年金受給者の実質的な購買力は低下し続けることになります。
また5年に一度行われる「財政検証」によると、少子高齢化の進行で年金財源が厳しくなるなか、将来的に年金は2割目減りが既定路線。だからこそ、現役世代は年金だけに頼るのではなく、自助努力が必要とされているのです。
しかし、佐藤さんのように年金危機が騒がれるようになったころには「時すでに遅し」というのが、現在の年金世代の実情。物価高が進むなか、住居費や光熱費、保健医療費などの固定的な支出が増大しており、物価変動の影響を最も受けやすい「食料費」を圧縮せざるを得ない世帯が増えているのです。
かつては「現役時代に保険料を払っていれば老後は安泰」とされたモデルケースも、現在の物価水準と社会保障負担の増大を前に、再考を迫られています。個人の自助努力だけでは限界があるなかで、高齢者の最低限の生活をいかに守るかという課題は、深刻さを増しています。