親子だから助け合うのは当然。そう思って、過剰な支援を辞められないケースも珍しくありません。しかし、日本の法律が定める「扶養義務」には、実は明確な境界線が存在します。自分の家庭や子どもの未来を犠牲にしてまで、親の要求に応え続ける必要はあるのでしょうか。ある親子のケースをみていきます。
「親を見捨てるのか!」と泣きつく母親に42歳娘の絶望。冷蔵庫20万円を肩代わりした直後の「過酷な要求」…際限ない親の無心にどう対処すべきか (※写真はイメージです/PIXTA)

親がどうなってもいいということ? 母からの情に訴える脅迫

夫と2人の子どもと暮らす佐藤美咲さん(42歳・仮名)。スマートフォンのバイブレーションが鳴るたびに、ビクッとするといいます。そして画面に表示されるのは「母」の二文字を見るたびに、ため息がしか出ないとか。それは、安否確認でも孫の顔が見たいという連絡でもなく、決まってお金の無心だからだとか。

 

「先週も、頼むから1万円でいいから貸してくれ、と電話がありました。でも、そんな少額で済んだ試しがないんです。結局、何かしら理由をつけて数万円、数十万円という単位に膨れ上がっていきます」

 

自宅から車で30分ほどの距離の実家では、68歳の母・悦子さん(仮名)と、45歳の兄・健一さん(仮名)が2人で暮らしています。2人とも働いてはいるものの、揃って計画性に乏しく、手に入ったお金は趣味や外食に使い果たしてしまう典型的な浪費家だといいます。

 

数ヵ月前、母から「冷蔵庫が壊れた。買ってきたものが冷やせない。買い替え費用を出してほしい」と泣きつかれました。美咲さんは自身の家庭でも子供の塾費用や住宅ローンの支払いが重なり、余裕はありません。一度は断りましたが、母の口から出たのは感謝ではなく、激しい責め苦の言葉でした。

 

「受話器越しに怒鳴り散らされ……『あんたを育てるために、どれだけのお金を使ってきたと思っているんだ。これくらい恩返しとしてやってくれてもいいやろ』と。結局、私は折れてしまいました。貯金から20万円を捻出し、『これが最後だよ』と念を押しました」

 

しかし、その「最後」という約束は、一ヵ月も経たないうちに反故にされました。今度は「カードの支払いが間に合わない。このままだと差し押さえられる」という連絡が来たのです。さすがにこれ以上の援助は無理だと突き放すと、母の態度は一変しました。

 

「『親がどうなってもいいということ? 娘に見捨てられて死ぬしかないわ』と、ヒステリックに叫び始めました。こうなると、何を言っても話が通じません。兄に相談しようと連絡しても、都合が悪いのか一切無視。実家に帰れば、お金を無心するほど困っているようには見えず、むしろ、私1人が苦労しているように感じる……本当、虚しくなります」

 

美咲さんはパートを掛け持ちし、家計をやりくりしています。夫には、自分の親がこれほどまでに金銭的にだらしないとは、恥ずかしくて相談できていません。このままでは自分の家庭が崩壊してしまうという恐怖を感じながらも、実の親を突き放しきれない葛藤を抱えています。