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高齢男性を襲う社会的孤立
佐藤さんのように、定年後に時間を持て余し、さらに社会的な孤立に苦しむ男性は珍しくありません。
内閣府『令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』によると、「あなたは、ふだん親しくしている友人・仲間をどの程度持っていると感じますか」という問いに対し、「持っていない(ほとんど持っていない、持っていないの合計)」と回答した男性は25.0%と、4人に1人の水準に達しています。対して女性は17.3%。男性のほうが深い人間関係を築けていない傾向にあります。仕事を通じて自己実現を図ってきた男性にとって、定年は孤立の始まりとなることも少なくないのです。
さらに、総務省『社会生活基本調査』では、高齢者の自由時間の過ごし方において、テレビ視聴や休養などの「受動的活動」が占める割合が大きいことが指摘されています。佐藤さんのように「映画や読書で時間を潰す」ことは、一時的な気晴らしにはなっても、社会との繋がりを求める根源的な欲求を充足させるには至らないのでしょう。
厚生労働省『令和6年簡易生命表』によると、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です。また、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳で、平均寿命との間には男性8.48年、女性11.64年の差があります。
人生100年といわれる現代において、60代や70代はまだ通過点に過ぎません。佐藤さんのように長い長い老後に恐怖を感じないよう、会社という枠組みがなくなったときにどう生きるか。定年を迎える前に、じっくりと考えておきたいものです。