「50万円なら失敗しても大丈夫」慎重なスタートだったが…

遠藤さんはネットで投資について調べ始めました。積立投資は王道だが、自分には数十年待つ時間はない。とにかく早く遅れを取り戻したい……そんな彼の心を掴んだのが「仮想通貨(暗号資産)」でした。「仮想通貨で億り人(おくりびと)になった」「今からでも間に合う」といった記事や動画も溢れています。

「リスクがあることはわかっていました。でも、当時は退職金と貯金で2,800万円ありました。50万円なら失敗しても大きな痛手ではないと思ったんです」

タイミングよく、1ヵ月後の評価額は約10万円増。この右肩上がりのチャートが、遠藤さんの判断を狂わせたのです。

「『今が波に乗るチャンスだ』と思い、さらに50万円を追加。今度は100万円、さらに100万円を追加……。最終的に合計700万円を仮想通貨に投入していました」

一時期は900万円まで増え、遠藤さんは有頂天に。しかし、その後相場は一転。流れが一気に変わったのです。

パニック売りからFXへ、破滅への道筋

「900万円まで増えた資産が、800万円、700万円と目減りしていきました。毎晩眠れなくなって、朝起きるとまず価格をチェックする毎日でした」

相場の下落が続く中、遠藤さんは致命的な判断を下します。「このまま下がり続けたらすべてを失う」という恐怖から、損切りを決断したのです。投資した700万円は売却時には200万円になっていました。500万円の確定損失です。

しかし、売却後に相場は一時的に回復。「あと1ヵ月待てば損失は50万円程度だった」という後悔が、遠藤さんをさらに危険な投資へと駆り立てました。

「『短期間で損失を取り戻したい』という気持ちが抑えられませんでした。FXなら値動きがシンプルで、仮想通貨より分かりやすいと思ったんです。レバレッジを使えば一気に取り返せる――そう考えてしまいました」

気付けば、残った2,300万円のうち2,000万円をレバレッジの高いFXに投入していました。しかし、為替相場の急変で、気づいたときには強制ロスカットが発動。900万円の損失となり、結局、遠藤さんの手元には1,400万円だけが残ったのでした。