有効な節税対策の一つに、財産の「評価額」を下げることで、相続税の支払い額を抑える方法があります。たとえば、現金を不動産という形に変えるだけで、税金計算のベースとなる数字を劇的に圧縮できるケースがあるのです。本記事では、出口秀樹氏の著書『知れば知るほど得する税金の本』(三笠書房)より一部を抜粋・再編集し、土地や建物の相続税対策法について解説します。
不動産への“資産シフト”で「相続税」を賢く抑える。土地・建物の“評価額”を引き下げて対策する「節税のカラクリ」 (※画像はイメージです/PIXTA)

財産の評価額を下げて相続税対策

相続税の節税の方法はいろいろありますが、一般的な方法として、財産の評価額を下げるというものがあります。 

 

財産の種類によっては、実際に売却した時の価額と評価額で差額が出るケースもあります。たとえば現預金の場合は、100万円の現預金は100万円の価値として相続財産の金額にカウントされます。 

 

これに対して土地と建物は評価の方法が定められているものの、その金額を下げる方法がいくつかあるのです。 

 

相続税を節税する方法①土地

まずここでは“土地の評価額を下げる”方法を見ていきます。 

 

土地は何も使っていないと「自用地」(いわゆる更地)として評価額はそのままの金額で計算されます。相続税対策としては、この土地に何らかの権利関係を設定する方法が考えられます。

 

たとえば、その土地を誰か第三者に貸すと、「借地権」という権利が土地の上に設定されるため、自用地評価ではなくなります。 この場合は、貸地評価となり、自用地を100%としたらその地域によって決められた借地権割合だけ土地の評価額が減額されます。 

 

借地権は路線価地図で確認できますが、地域によって90%から30%の割合で設定されています。仮に50%の地域で借地権を設定すると、評価額は50%減を実現できるのです。 ただし、借地権を設定させるということは、その土地の使用について所有者が自由にできないというデメリットも生じます。いったん借地として契約を結ぶとその契約を解除するのはとても難しいのです。 

 

また、最近では自分の土地の上に建物を建てその建物を貸す、いわゆる不動産賃貸業として土地を利用するケースも増えてきています。 この場合、借地権は発生しませんが、その上の建物を貸しているため、結果としてその土地の使用にも制限がかかることになります。

 

税金の世界では、そのような土地を「貸家建付地」といい、次のような評価減が認められています。

 

貸家建付地評価額=自用地評価額×(1-借家権割合 × 借地権割合 × 賃貸割合) 

 

借家権割合は、基本的に全国一律30%です。賃貸割合とは、その建物を賃貸にしている割合です。具体的な数値で説明すると、借地権割合50%、賃貸割合が100%の場合だと、(1 -30% ×50%)= 0.85となり、自用地評価の85%の金額で評価することができます。 

 

借地権を設定させると、その契約の解消は大変な苦労を伴いますが、賃貸物件を自分で建て、貸し出すとなると、権利の制限は緩和されます。 

 

このような土地の権利を制限して評価額を落とす方法が相続税対策の一つなのです。