老後に差し掛かってから子どもが実家に戻ってくる、いわゆる「出戻り」は、一般的にネガティブに語られがちです。「老後資産が減る」「生活リズムが崩れる」「静かな余生が奪われる」――。そんな心配の声が真っ先に浮かぶ人も多いでしょう。確かに、経済的に自立していない子どもが戻ってくれば、家計への負担は避けられません。実際、親の年金に頼りきりになり、老後不安が一気に現実化するケースも少なくありません。しかし一方で、同居がプラスに働くケースも。ある家族の事例と共に、ファイナンシャルプランナーの小川洋平氏が“出戻り=不幸”にならないポイントを解説します。
食べて、テレビを観て、寝るだけの毎日です…年金月21万円・70代年金夫婦の〈静かな老後〉が一変した日。きっかけは「出戻り長女の孫連れ帰還」【FPが解説】
「出戻り」がプラスになる家庭の共通点
離婚後に困窮し、親の老後資金を圧迫してしまうケースは確かに少なくありません。ですが、今回のように、状況が好転する例も存在します。
そういった家庭に共通しているのは、次のような点です。
・戻ってきた子どもに一定の収入がある
・支出の管理がしっかりできていること
・「今後どう暮らしたいか」を家族で共有している
子どもや孫が戻ってくると、確かに支出は増えます。しかし、二人暮らしから三人・四人暮らしになっても、支出の増加は“比例”するわけではなく、実際増える経費と言えば食費や光熱費くらいでしょう。子どもが正社員として働いて稼げる程度の収入が加われば、家計が楽になるケースもあります。
大切なのは、状況が変わったときに、収入と支出のバランスがどう変化するのかを見える化し、バランスを保つことができるよう調整すること。
人生は想定外の連続です。離婚、病気、ライフプランの変更――どれだけ準備しても、予定通りにいかないことは起こります。だからといって、計画が無意味になるわけではありません。
大切なのは、状況が変わったときに「このままだとどうなるか」を確認し、「どう調整すればいいか」を考えられること。ライフプランは変化に対応するための設計図です。
大事なことは「現状把握」と「目標に対し何をするか?」です。未来はどうなるかわからないからこそ、自分を知り、自分のなりたい姿、在るべき姿のために何をすべきかを考えることが重要です。
“想定外”を“新しい幸せ”に変えるために
今回は娘さんの離婚が夫婦にとって良い結果をもたらすことになった事例をお伝えしました。家族構成が変わることで、経済的な不安が軽くなる、生きがいが戻るといったことも確かに存在します。
重要なのは、「想定外が起きたときにどう対応できるか」です。ライフプランは、未来を固定するものではなく、自分を知り、変化に対応し、自分らしく生きるための設計図です。
未来に起きる出来事をすべて予測すること、避けることはできません。しかし、お金も含めた自分と向き合い、暮らし方やどう収入を得るかを見直し、戦略を再設計することで、“想定外”を“新しい幸せ”に変える余地は、誰にでも残されています。
小川 洋平
FP相談ねっと