静かすぎる家…会話のない老後に訪れた「まさかの事態」

神奈川県郊外に暮らす田中恵美子さん(70歳・仮名)は、夫の正夫さん(72歳)と長年、二人きりの生活を続けてきました。二人の娘はすでに独立し、それぞれ家庭を持っています。

子育てが終わってからの生活は、静かで穏やか……。そう表現すれば聞こえはいいですが、恵美子さんにとっては少し違いました。

正夫さんは几帳面で、生活ルールに厳しいタイプ。食事の時間、物の置き場所、家の中の動線まで細かく気にします。悪い人ではないものの、必要最低限の会話しかなく、「楽しい老後」とは言えませんでした。

そんなとき、突然の出来事が起きます。長女の美咲さん(38歳・仮名)が離婚し、2歳の孫娘を連れて実家に戻ってきたのです。

お金を食いつぶす、静かな老後が騒がしくなる、世間体――。そんな「出戻り」のマイナスイメージからでしょう。娘と孫と暮らしているというと、周囲からは「大変ね」「せっかく老後なのに」「お気の毒」と同情されることも。ですが、恵美子さんは、こういいます。

「私も最初は本当に不安で、正直憂鬱でした。でも、現実は違ったんですよ」