2025年から2026年の年越し、どのように過ごしましたか? 「テレビを観ながらカウントダウン」 「お酒に酔って気づくと年が明けていた……」「初詣。良い一年になりますようにと手を合わせながら」。それぞれが大切な人と素敵な年越しを過ごしたことでしょう。では「老人ホーム」に入居している人たちは、どんな年越しをしたのか、介護施設での勤務経験がある武田拓也FPが、80歳男性の事例を紹介します。
老人ホームなんて入るんじゃなかった…年金19万円・80歳男性「正月旅行に行こう」と約束した息子家族は「熱海温泉」へ。使わなかった“お年玉のポチ袋”を握りしめた夜
光治さんの心配ごと
「次の正月はどうするんだ?」
毎年、年末年始の息子一家の帰省が、光治さんの一番の楽しみだったそうです。
施設の様子を見に来た息子に光治さんが訊ねると、智博さんは少し考えてからこう言いました。
「う~んそうだな……みんなで旅行にでも行こうか。気分転換になりそうだし。外出許可とか諸々確認しておいて」
「そうか! 旅行なんて久しぶりだし、体力つけておかないとな」
光治さんは「年末年始の旅行」を楽しみに、準備を進めることにしました。
しかし……。
叶わなかった「正月旅行」の夢
親が老人ホームに入ったことで安心したのか、息子もなかなか施設に顔を見せなくなり、12月に入ってもなんの連絡もないことから、光治さんは智博さんに電話をかけました。
「もしもし。正月の旅行、どうなった?」
すると、焦った声色で息子は言いました。
「あ~……ごめん、中止になりそう」
理由を聞くと、「子どもの友人家族と熱海温泉に行くから」というもの。予想外の返答に、光治さんはショックを隠せません。
――そして、老人ホームで迎えた新年。光治さんの自室は静まり返り、隣の部屋から漏れ聞こえるテレビの音が、かすかにお正月の雰囲気を伝えています。
施設の入り口には門松が立ち、食卓には豪華なおせち料理が並びますが、家族と過ごす年末年始とはまるで違っています。
「老人ホームなんて、入るんじゃなかった……」
佐藤さんは孫に渡すはずだったポチ袋を握りしめたまま、肩を落としました。
老人ホームのメリット・デメリット
老人ホームへの入居は、専門スタッフによる質の高いケアが受けられ、家族の介護負担が軽減されるという大きなメリットがあります。バリアフリーの環境や食事・介護サービスが整っている点も、自宅での生活と比べて快適で魅力的です。
一方で、「家族と過ごす時間」が以前より少なくなってしまうというデメリットはあります。それまで頻繁に様子を見に来てくれていた家族であっても、親が施設に入ったことで仕事や自分たちの生活が優先され、面会の頻度が減ってしまうケースは珍しくありません。
年に数回の面会や電話では、入居者本人にとっては「物足りない」と感じることもあるでしょう。特に、年末年始のような“特別な時期”には、その思いがより強くなる傾向にあります。