富裕層向け投資家ビザに特化して100億円以上の申請業務に携わる中で、20年、2万人以上の成功者の歩みを詳細に知る機会を得た著者の大森健史氏は、そこから見えた「シン富裕層(※)」の共通点を、閉塞感を抱く日本人、とりわけ若者に伝えるべく、本書の発刊に至った。本記事では、大森健史氏の著書『進化するシン富裕層』(日刊現代)より一部を抜粋・再編集して、教育移住者が多い「シン富裕層」が実践する、子育てのコツについて解説します。(※親が裕福だったわけではなく元々は「ごく普通の人」でありながら、インターネットやスマートフォンの普及を背景とした起業、暗号資産、動画配信、情報ビジネスなどを通じて、わずか数年で一代にして巨万の富を築いた新しいタイプの富裕層)
「子どもに“精神と時の部屋”を与える」ドバイ移住の元経営者が日本の“学歴レース”を捨て、海外で実践する「教育メソッド」

子どもに「精神と時の部屋」を与える

 

日本でも、偏差値より校風や環境などを重視した学校選びはできるのでは、と感じるかもしれません。しかしながら、日本では少しでも偏差値の高い学校に行かせたいという考え方が大多数を占めているため、結果的に高偏差値の学校に優秀な子どもが集まっていることになります。このことは中学受験者数がこの少子化の中、2025年であっても過去最高を更新していることでも分かると思います。

 

特に中学受験界のカリスマ塾とも言えるSAPIX(男女御三家トップ校で圧倒的な合格者数を誇る)は小学校1年生から入塾しないと満員で途中入塾が出来ないといった状況にまで加熱しています。

 

教育に関してドバイに教育移住した30代前半の元会社経営者(M&Aで会社売却)が言っていたのは、「『ドラゴンボール』の『精神と時の部屋』を子どもに与えろ」というものでした。「精神と時の部屋」というのは、人気マンガ『ドラゴンボール』(鳥山明作)の主人公・孫悟空がセルというチート級のラスボスとの戦いに勝つために利用したトレーニング空間のことです。

 

そこには優れたトレーニング施設があるわけではなく最低限の宿泊施設しかありません。しかしながら、その部屋の空気は外の4分の1しかなく、常に10Gの重力がかかり、気温が最高50度から最低マイナス40度まで変動するとされ、あり得ないほどの厳しい環境とされています。しかもその場所で1年過ごしたつもりでも、実際には1日しか経過していないという空間です。そこで孫悟空は修行をして、魔人ブウとの戦いに備えました。

 

つまり海外の学校に行くメリットは何かというと、友だちや先生と会話をするためには英語で話さなければならないという厳しい環境下に置かれることで、英語が自然と身につくという点です。外国人の同級生と円滑にコミュニケーションが取れるようになることも魅力でしょう。筋トレをするために、ジムに行くのではなく足に重りをつけて歩くだけという人が時々いますが、それと同じです。

 

「将来のために英語を勉強しなきゃ」「ジムに行かなきゃ」といった義務感から取り組むのではなく、自動的に負荷がかけられるようにするわけです。日本にいても自動的に英語を学べる環境をつくるために、あるシン富裕層の方は「子どもには、ゲームの言語設定を英語にして遊ばせる」と話していました。「ゲームをやるなとは言わない。子どもがやりたいことをすべて禁止してしまうのはダメ、隠れてやるようになってしまうから。その代わり、『英語だったらいくらでもゲームをやっていいよ』と言っている」と。

 

マンガが好きでマンガばかり読んでいる子どもには、アメコミ(アメリカン・コミック=アメリカのマンガ)のアニメを英語音声で少しずつ見せるようにして、「マンガを読んでもいいよ。アメコミの英語版だったら買ってあげるよ!」という提案をするそうです。大型書店に行くと、日本の人気マンガの英語版も売っています。そういうものを買って読ませて、自然と英語が身につくように仕向けているのです。

仕組み化で子どものスマホ中毒を防ぐ

別のシン富裕層の方は、「僕は子どもにあまりスマホゲームをさせたくない。だから、あえて画面が小さいスマホしか買わない。画面が小さいと、ゲームをやっていても指でうまく操作できなかったりして楽しめないから、自然とあまりゲームをしなくなるんだよね」と話していました。ゲームが「物理的にやりづらい」仕組みをさりげなく作って、ゲームをしないようにこっそり誘導しているというわけです。

 

さらに、入れるアプリの数を強制的に少なくするために、スマートフォンは最もメモリー容量の少ない機種を子どもには与えるそうです(iPhoneなら64GB)。この方は、タイやマレーシアなどで海外駐在員として活躍しながら、独学で暗号資産について調べて2013年に購入し、5年後に数十億円の資産を築いたというシン富裕層ですが、毎朝4時に起きて1時間弱の瞑想を行うことにより精神を整えているといいます。

 

お金は既に充実していますが、お金をより充実させることよりも心の充実を好み、スマホをなるべく触らないようにしているとも言います。「スマホ画面って、カラフルだったりいろいろな通知がきたりして、ついついアプリを開きたくなりますよね。だから僕は一日中〝夜間モード〟の設定で、通知が可能な限り来ないようにして、画面もグレースケールで白黒の設定にして、アプリを開きたくなくなるような仕組みを作っています」と話していました。

 

 

大森 健史

株式会社アエルワールド

代表取締役