富裕層向け投資家ビザに特化して100億円以上の申請業務に携わる中で、20年、2万人以上の成功者の歩みを詳細に知る機会を得た著者の大森健史氏は、そこから見えた「シン富裕層(※)」の共通点を、閉塞感を抱く日本人、とりわけ若者に伝えるべく、本書の発刊に至った。本記事では、大森健史氏の著書『進化するシン富裕層』(日刊現代)より一部を抜粋・再編集して、教育移住者が多い「シン富裕層」が実践する、子育てのコツについて解説します。(※親が裕福だったわけではなく元々は「ごく普通の人」でありながら、インターネットやスマートフォンの普及を背景とした起業、暗号資産、動画配信、情報ビジネスなどを通じて、わずか数年で一代にして巨万の富を築いた新しいタイプの富裕層)
「子どもに“精神と時の部屋”を与える」ドバイ移住の元経営者が日本の“学歴レース”を捨て、海外で実践する「教育メソッド」

「子どもの教育」を目的に海外移住するシン富裕層

シン富裕層が海外移住をする目的として最も多いのは、「自分の子どもに海外で教育を受けさせたい」というもので、全体の5割から6割を占めます。残りの3割弱は〝経済的自立と早期リタイアを実現する〟FIRE、もしくは定年などでリタイアして、「海外で悠々自適に暮らしたい」という目的、あとの2割弱が「日本の税金が高くなったので海外へ逃避したい」という理由です。

 

子どもの教育のために海外移住をするシン富裕層たちからは、子育てや教育に関する話をよく聞きます。彼らは子どものために、いろいろなポリシーを持って子育てや教育に取り組んでいます。そこで、シン富裕層ならではの子育て・教育への考え方を見てみましょう。

 

まずシン富裕層には、「子どもへの期待値を上げ過ぎない」という特徴が多く見られます。子どもの教育のためにわざわざ海外移住をすると聞くと、「子どもにすごい期待をかけているのでは?」と感じるかもしれませんが、そうではありません。シン富裕層は「日本の教育はあまり良くない」という考えを大前提として持っていて、それは日本でいまだ根強い学歴偏重、偏差値重視、受験競争の風潮を「良くない」と考えているのです。

 

東京では、「子どもは小学生のうちに中学受験大手の進学塾SAPIXに通わせて、偏差値の高い私立の中高一貫校に入り、大学はせめてGMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)、できれば早慶(早稲田・慶應義塾)、可能なら東京一科(東大・京大・一橋・東京科学大)」といった価値観が色濃くあります。

 

地方は地元公立志向が根強く、「高校受験で学区内偏差値トップの県立高校に入り、大学は地元の国立、可能なら家から近いところの旧帝大へ」という価値観です。志望校をどうするか迷ったら、「偏差値が高いから、こっちにしよう」などと考えがちです。

 

しかしこれからの時代、早慶を出ていようが東大を出ていようが、Fランク大学卒であろうが、あまり関係ありません。もちろん、大学で学んだ知識や、そこで出会った友だちや先輩後輩などの人脈、人付き合いの仕方などの経験は役に立ちますが、「〇〇大卒だから」という理由だけで何かを得られる時代ではなくなっています。

シン富裕層は「偏差値」以外の物差しで進学先を決める

シン富裕層は、学歴と関係なく巨万の富を得た人たちですから、それを心の底から実感しているのです。だから、シン富裕層が「子どもを『いい学校』に入れたい」というときは、「偏差値が高い学校」という意味ではなく、「いい生徒がたくさんいる学校、(非行に走るなどの)悪い生徒が少ない学校」という意味であることが多いのです。そして何より、「子どもの性格に合った校風の学校を選ぼう」「子ども自身が自然体で、自由に学校生活を過ごせる学校がいい」と考えるのです。

 

海外の場合、有名校はあっても偏差値の高低によるランキングなどはありません(ただし、生徒数と教師数の比率など、さまざまな観点の評価基準はあります)。海外の人は基本的に、前述のシン富裕層の考え方と同じような形で学校選びをします。そういう点で、日本の親の多くが持つ「絶対にこの有名校に合格してほしい」といった変な期待を、シン富裕層は持っていないのです。