「会話はできるのに、片付けができない」「なにを聞いても『どうでもいい』という」――。独居の親にみられるこうした変化を目の当たりにすると、真っ先に疑うのは認知症かもしれません。しかし原因は、認知症に限らないこともあって……。本記事では、Aさんの事例とともに親の老いへの備え方について、FPオフィスツクル代表・内田英子氏が解説します。
(※写真はイメージです/THE GOLD 60編集部)
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3.家計を“ざっくり見える化”する
家計管理といえば「家計簿」をイメージする人が多いと思いますが、家計管理に必ずしも家計簿は必要ありません。家計簿をつけるには、細かな追跡作業を伴います。長年続けてきた人でなければ、年を重ねてから、ましてや精神状態が弱くなってしまっている状態では難しいでしょう。そこでおすすめなのが、「使えるお金を確認する作業」です。家族が代わって行うこともできます。
〇記帳し、すべての収入を確認する
〇通帳や請求書などから固定支出を把握し、年ベースで計算する
〇これから必要な大きなお金の予定(入院費用や施設入居費用・住宅修繕費用など)を確認する
最終的に、相続手続きなどの負担を減らすことにもつながります。
「年だから仕方ない」ではなく、“暮らしの土台”を整える
高齢の親の変化をみたとき、「年だから仕方ないのかな」と思ってしまいがちですが、気力の低下は暮らしとお金のトラブルにつながりやすいものです。
医療機関にかかり、医療からのサポートを受けることはもちろん大切ですが、それと同時に生活がこれ以上崩れないよう“土台”を整えることも重要になります。
親の心と暮らしが揺れているとき、家族ができる最も大切なサポートは、“未来の選択肢を残しておくこと”なのかもしれません。「最近ちょっと気になるな」と感じたときこそ、無理のない範囲で整えていくことが、親自身の生活の安心にも、家族の安心にもつながっていくはずです。
内田 英子
FPオフィスツクル代表