「1億円あればもう働かなくていい」。FIREという言葉が一般層にも浸透し、SNSでは「資産〇〇万円で会社を辞めました」という輝かしい投稿も目にするようになりました。しかし、その裏側にはあまり語られない“現実”があります。ファイナンシャルプランナーの小川洋平氏が詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
俺には“働かない才能”がある…〈資産1億2,000万円〉で夢のFIRE・早期退職した52歳会社員、たった2年足らずで再就職。理由は、ある朝襲われた「恐ろしい異変」【CFPが解説】
自分の“生き方”を見つけること
実は、佐藤さんのようにFIRE後に再び働くようになる人は多いです。働くことから解放された瞬間は幸福ですが、時間が無限に与えられると持て余すようになってしまうからです。
1億円もの資産を手にすれば、人生の選択肢は広がります。佐藤さんのように、ひとまずなにも考えずに自由な時間を謳歌してみるのもよいでしょうが、長くは続かないもの。自分が打ち込める仕事や、人の役に立っていると実感できる仕事を見つけられると、人生の満足度は大きく向上します。
たとえば、1億円以上の資産があるならば、忙しいときだけ行きつけのバーや居酒屋を手伝ってみたり、資産の一部を元手にして事業を始めてみたり、短時間のアルバイトで色んな職場を経験してみたり。選択肢はたくさんあります。
どんな生き方が自分にとっての幸せなのか、自分の人生を豊かにするのか……。せっかく時間とお金の自由を手に入れたならば、ゆっくり自分と向き合って、これからの生き方を考えてみましょう。
早期リタイアしても人生は続く
FIREは「自由を手に入れる」ための手段ではありますが、自由には“扱い方”があります。佐藤さんのように、いきなり仕事から離れたことで生活が乱れ、健康まで失いかける人も珍しくはありません。ですが、佐藤さんの場合は一度働かない生活を経験したからこそ、「働く意味」を見つけ直すことができました。
人生を豊かにするのはお金だけではありません。人とのつながり、役割、社会との接点、それらをどう組み合わせるかで、幸福度は大きく変わります。
小川 洋平
FP相談ねっと