2023年、GDPで「休むのが大好きな」ドイツに抜かれた日本。その敗因は、「他人が休むと許せない」という、歪んだ嫉妬心にあるのかもしれません。本記事では、サンドラ・ヘフェリン氏の著書『有休取得率100%なのに平均年収が日本の1.7倍! ドイツ人の戦略的休み方』(大和出版)より、日本の職場の根深い構造を、ドイツの視点も交えて解説します。
「明日からイタリア旅行」何カ月も前から仕事を頑張っていた編集者。出発前夜、先輩の〈悪意〉で泣く泣く有休をキャンセルしたワケ…日本の職場の“異常な”嫉妬心

休むことは、生理現象と同じ

「仕事を振られ、泣く泣く有休をキャンセルした」というエピソードを、あるドイツ人に話したところ、その人は暫く絶句したあと、こう言いました。

 

「人が休むことを妬むなんて……。休みたいというのは、トイレに行くのと同じような生理現象だと思う。そんなことが妬みの対象になるのは人間として完全に壊れている」。これを聞いて、その通りだと思いました。よく人間の三大欲求として、食欲・性欲・睡眠欲が挙げられますが、広い意味で考えれば、「有休を取って思う存分休むこと」も、後者の「睡眠欲」に入るでしょう。人間、立ち止まって休むことと、思いきりリラックスして時間を気にしないで眠ることは、やっぱり必要なのです。

 

実践できること:連携してでも有休を全部取る

繰り返しになりますが、有休は全日消化する方向で考えたほうがいいでしょう。その際にほかの人とも連携して、みんなで「有休を取る」という流れに持っていくことができれば一番。仕事仲間と一緒に食事をすることもあると思いますが、そんなときに、世間話に終始するのではなく、「休むこと」に話を持っていき、共感してくれた人を中心に「みんなで有休を取るようにしよう」と結束できれば最高です。社内で「有休を取ることは大事」だということを徐々に広めていきましょう。それがゆくゆくは、大きな動きにつながるかもしれません。

 

 

サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト