老後を見据えた生活を送る50代。「残りの人生のほうが少ないかもしれない」そう気が付くと自分の持っている資産や時間、仕事などの捉え方も変化してきます。獅子にひれ氏の著書『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、老後資金の考え方について解説します。
老後資金、貯めすぎてしまった…70代、お金は十分にあるのに。夢だった「イタリア旅行」に行けず、後悔が残る人生後半戦 (※写真はイメージです/PIXTA)

労働収入を切らさないことの重要性

必要なお金を準備する方法として、投資で「お金」に働いてもらうことは有効ですが、それ以上に確実な方法があります。それは自分が元気でいる間は働いて労働収入を得ることです。手元資金1000万円を利回り4%で10年運用したとして、得られる運用益は約500万円になります。パートタイムでも月10万円の収入があれば、10年間で1200万円の収入となります。働き続けることで得られる収入は、投資よりもはるかに安定した経済的安心感をもたらしてくれるでしょう。

 

定年後も働き続けることは、健康の維持にも役立つと感じます。規則正しい生活リズム、人との交流、達成感や責任感といった要素は、心身の健康を保つうえで欠かせません。定年は会社が決めたルールにすぎません。健康で働きたい意欲があるなら、働き続けることで得られるものは収入だけでなく、社会とのつながりや達成感といった豊かな人生を彩るものが多いのです。

 

近年では早期退職を選び、さまざまな道を模索する人も増えています。起業する人、フリーランスとして専門性を生かす人、まったく違う分野に挑戦する人。60代・70代でも新しいキャリアを築く人たちの事例を見ていると、年齢は単なる数字に過ぎないと実感します。私自身も「定年後=老後」という考えが「刷り込み」に過ぎないと気づきました。人生100年時代において、65歳はまだ人生の3分の2地点。残りの35年をどう生きるかは自分次第なのです。

 

50代は教育費の負担が減り、収入がピークを迎える年代でもあります。住宅ローンの完済も見えてきて、家計に余裕が生まれる時期です。言い換えると「老後の暮らしの準備」に最も集中できる時期といえます。

 

この時間を活用し、これから先の暮らしを具体的に思い描く作業をすることで、将来への不安を希望に変えられます。「どこに住みたいか」「どんな仕事をしたいか」「どんな趣味を楽しみたいか」「大切な人とどう過ごしたいか」。こうした理想を明確にすることからはじめましょう。

 

まずは自分の「いま」を知ることからはじめる。それが「自分らしい生き方」の第一歩になるはずです。不安に支配されるのではなく、希望をもって未来を設計する。そんなワクワクする定年前準備を一緒にはじめてみませんか?

 

 

獅子にひれ

ライター/AFP

 

※本記事は『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。