老後生活を支えるはずの、2つの大きな柱「年金」と「退職金」。年金はねんきん定期便に書かれた“見込額”を、退職金は“会社の制度”を、それぞれ信じて「老後は安泰だ」と考えてはいないでしょうか。しかし、その「年金見込額」は今後の収入減で目減りするリスクがあり、さらに「退職金」の平均支給額はこの26年で1,000万円も激減しています。獅子にひれ氏の著書『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、老後の2大資産の厳しい現実と、今からできる備えを解説します。
50歳以上の「ねんきん定期便」、年金繰下げで“42%増”の見込み額が「役職定年」で目減りする50代の誤算 (※写真はイメージです/PIXTA)

退職金の額、知っていますか?

ある日のこと「住宅ローンを完済して悠々自適の老後のつもりが、退職金が思いのほか少なくて……」と上場企業に勤める男性が困惑している様子をニュースで見ました。あなたは自分の退職金がいくらあるか知っているでしょうか? 特定非営利活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)によると「世代別比較くらしとお金に関する調査2018」では、2人に1人は金額を知らないという結果に。

 

では実際どのくらい退職金があるのでしょうか。厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、管理・事務・技術職に就く大卒以上の定年退職者の退職金平均支給額は、1997年は2871万円だったのに対し、2023年は1896万円まで減っています。26年ほどの間に1千万円も退職金が減っているのです。従来の「確定給付企業年金(DB)」と呼ばれる制度から、iDeCoの企業版である「企業型確定拠出年金(企業型DC)」への移行や定年後再雇用の人件費補填などが背景になっています。

 

なお、退職金の割り増しなどが条件となる早期退職による退職金は、2023年には2266万円になっています。従来の「定年まで働き続ける」という価値観から「早めの退職で第二の人生を楽しむ」という考え方の人も多いようです。

 

退職金は長く企業に勤めたご褒美ではなく、給料の後払いです。「開けてびっくり」となる前に、一度確認してみてはいかがでしょうか。

 

〈参考〉

「ねんきんネット」

https://www.nenkin.go.jp/n_net/

日本年金機構ホームページ 

https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/teikibin.html

 

 

獅子にひれ

ライター/AFP

 

※本記事は『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。