多くの人にとって年金が収入の柱となる定年後の現実は、想定よりも経済的に厳しいものでしょう。しかしその解決策は、単なる「節約」や「我慢」にあるのではありません。本記事では、丸山法子氏の著書『定年を意識したら読む本 定年のトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、定年後の人生設計を考えるための視点と、その際に役立つヒントを紹介します。
年金月7万円、生活保護も不可…「八方塞がりの老後」でコストを半減させる、暮らし方
住まい、お金…具体的に想像し「定年後」をデザインする
■住まい…定年後に「駅近」は必要か?
いまの便利さ、この先どのくらい求めていきそうでしょうか。歩いていける範囲にコンビニが必要とか、公共交通機関がストレスなく使えるとか、想像してみましょう。
いくらか我慢できそう、代用できそう、その頻度は低くなりそうなど、便利さの加減を考えることで、都市部、地方都市、中山間地域、島嶼部など選択の幅が定まりそうですね。一戸建て住宅か、マンションか、二拠点生活も選択肢にありそうです。
住まいは将来設計の基本中の基本。移住も視野に入れ、どの町でどう住み続けられるかを考えてみてください。
■お金…無理せず働き、「共同生活」をする選択肢も
国民年金だと、満額で約83万円。月に7万円弱。不安ですよね。だからこそ働くことが必要です。
仕事の選り好みをしなければ、働いて収入を得ることはできます。稼ぐ力を身に付けつつ、将来に備えて貯金をしておくと、働けなくなったときの不安が軽減されます。
あわせて、お金を使わないで暮らしていく知恵として、共同生活という選択肢もあるのです。ひとり暮らしをするとコストが倍かかるので誰かと一緒に暮らせば半分で済む、と考えてはいかがでしょうか。そう簡単に生活保護受給はできませんので、自分が楽しめるような働き方をしましょう。
「自治体選び」で生活の質は大きく変わる
どこに住むかの観点でいえば、自治体ごとで将来の生活の質が変わることは、実はあまり知られていません。働きたい会社がその自治体にあるかどうか、自営業ならビジネスとして成り立つマーケットがその自治体にあるかどうか、考えるのも見逃せません。
そもそも健康づくりや介護予防、社会保障の制度は、じつは、都道府県や市町村ごとに違いがあります。「住むだけで健康になる町」「健康寿命と平均寿命を一致させる町」といった取り組みがある町に住めば、知らず知らずのうちに健康になれます。自治体は、そうやって社会保障の費用軽減を図る作戦ですので、よく調べて移住するのも方法のひとつです。