60歳の星野さんは、大学生活を送る息子への仕送りのため、食費を削り、外食も控える倹約生活を続けていました。しかしそんなある日、電話口の息子が震えた声で、まさかの多額の投資詐欺被害を告白したのです。我が子を思う親の気持ちにつけ込む卑劣な手口に、同世代の親はどう立ち向かえばよいのか……。FPの青山創星氏と一緒に考えていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「父さん、ごめん…本当にごめん」都内大学に通う息子、震える声で「まさかの告白」。苦しい生活のなか〈月8万円〉仕送りを続けていた父の決断【FPの助言】
息子の告白に絶句――父親が知った詐欺被害の全貌
電話口の健太郎さんは、ついに真実を打ち明けました。
「実は…50万円借金しちゃったんだ。投資で稼げると思って…でも全然うまくいかなくて」
星野さんは一瞬、言葉を失いました。倹約に倹約を重ねて送り続けた仕送り。それだけでは足りずに、息子は借金までしていたのです。
「どこから借りたんだ?」
震え声で尋ねる星野さんに、健太郎さんは消費者金融の名前を口にしました。さらに衝撃的だったのは、健太郎さんがその借金を返済しようと、アルバイトを掛け持ちし始めていたことでした。
「授業も休んで働いているんだ。でも全然追いつかなくて…もう3ヵ月も学校にまともに行けていない」
星野さんの頭の中は真っ白になりました。息子の将来を案じて送り続けた仕送り。その息子が詐欺に遭い、借金を抱え、学業も疎かになっている現実。
「なんてことだ…」
星野さんは電話を握りしめながら呟きました。
健太郎さんによると、「AIが自動で取引する」と言われたFXアプリは、最初の1週間だけ利益が出ているように見せかけていました。しかし、その後は一切利益が出ず、むしろ元金が減り続ける一方。問い合わせをしても「もう少し様子を見てください」と言われるばかりで、ついには連絡が取れなくなったそうです。