日本年金機構から送られてくる「赤い封筒」。それを無視した先に待つ「恐ろしい出来事」とは、決して他人事ではありません。年金保険料の滞納が、最終的にどのような事態を招くのか。本記事では、年間2万6,000件以上で発生している財産差し押さえの深刻な実態と、そうなる前に知っておくべき公的な救済制度について詳しく解説します。
日本年金機構「168,456件」に赤い封筒で最終警告も…ガン無視した「26,797件」に訪れた「恐ろしい出来事」 写真はイメージです/PIXTA

ある日、ポストに投函されていた「赤い封筒」

一時期、道端に置かれている「赤い封筒」がSNSをにぎわせました。その「赤い封筒」は、台湾や中国の「冥婚(めいこん)」という風習に関連づけられたもので、未婚で亡くなった女性の写真や髪、紙幣などを封筒に入れて道端に置き、通りすがりの男性が拾うと「結婚相手になった」とみなされ、遺族が現れて儀式を迫る……という伝承です。ただし、こうした話は多分に誇張されており、現代において強制的に結婚させられたという確かな記録はなく、都市伝説的な要素が強いと研究者は指摘しています。

 

一方で、別の「赤い封筒」をSNSに投稿した人がいます。

 

「ある日、ポストに赤い封筒が入っていて。ちょうどSNSで話題になっていたので、『俺の家にも赤い封筒が……』と投稿したんです」

 

都内在住のデザイナー、田中豊さん(38歳・仮名)です。SNSに投稿した後、想像以上の反響があったといいます。

 

「多くが、『やばい、やばい』というもので、『早く払わないと、とんでもないことになるぞ!』と散々言われ……やっと状況を理解し、とりあえず銀行に走りました」

 

田中さんが投稿した赤い封筒の正体は、年金保険料の滞納者に届く「特別催告状」です。これは段階的に警告の色が変わり、最初は「青色」、次に「黄色」、最終段階で「赤色」の封筒が送られ、事態の深刻さを示唆します。

 

それでも納付がない場合、最終的に財産が差し押さえられます。田中さんの投稿へのコメントには、実際に差し押さえを経験した人からの生々しい体験談もありました。なぜ、田中さんは保険料を滞納してしまったのでしょうか。

 

「フリーランスで収入が不安定なため、保険料の納付が苦しいときがあるんです。それに、僕らの世代は今の高齢者のように年金がもらえるか分からない、なんて話を聞くと、保険料を払うのがバカらしくもなって。一度滞納したら、もういいか、と……」

 

面白半分でSNSに投稿した赤い封筒でしたが、財産差し押さえの現実を知り、恐怖が一気に高まったといいます。