いつまでたってもわが子はかわいいもの。ただし、「かわいい子には旅をさせよ」ということわざがあるように、本当にかわいいと思うのであれば、過度な甘やかしは厳禁です。息子の“トンデモ発言”に思わず「育て方を間違えた」と悔いる60代夫婦の事例から、お金が絡んだ親子関係の厄介さをみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。※個人の特定を避けるため、登場人物の情報等は一部変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
お前、本当に私たちの子か?…貯金1,400万円・年金暮らしの60代夫婦が「毎週」帰省してくれる“孝行息子”に怯えるワケ【CFPの助言】
親から子や孫への資金援助の実態
一般的に多額の資金が必要となる「住宅資金」「教育資金」「老後資金」を、生涯の3大支出といいます。
そのうちの「住宅資金」や「教育資金」で、親は子どもにどのくらい資金を援助しているのでしょう。
(一社)不動産流通経営協会「第29回不動産流通業に関する消費者動向調査(2024年度)」によると、子どもが住宅購入のために、親から贈与を受けた平均額は、新築住宅が776.3万円、既存(中古)住宅が752.9万円。また親から贈与を受けた世帯の割合は、住宅購入者全体の11.4%でした。
また、ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2024」によると、教育資金として、子どもの祖父母(自分の親や義理の親)から、これまでに受けた教育資金の援助額は、図表のようになっています。
全回答者1,000名のうち、半数は援助はしていませんが、高額な援助もあり、平均援助額は124万円となっています。
このままでは破産する…頭を抱える60代夫婦
「コイツは本当に自分たちの子なのかと……目の前にいる息子が怖くなったんです」
FPである筆者のもとへ相談に来たA夫婦は、深刻な顔でそう語りました。
夫のAさん(65歳)は、半年前に某上場企業を定年退職、同い年で専業主婦の妻Bさんと、持ち家のマンションに2人で暮らしています。
A夫婦の現在の収入は、月あたり約35万円の年金(Aさんの企業年金含む)です。また、Aさんは退職時に住宅ローンを繰上げ返済、現在の貯金は約1,400万円と、将来の生活が懸念される残高です。
夫婦はこの貯金のうち、半分は自室のリフォームや旅行などに使い、残りは介護や看護が必要になったときなどの予備費として残しておく計画でした。
