援助が必要なのはむしろ親のほう?…A夫婦の現実

ここまでみてきたように、A夫婦が安心して老後生活を送るためには、固定費の削減などによる家計収支の改善が必須です。そして家計を改善できたとしても、Cさんが望むような援助は現実的ではないでしょう。

それでも、もしどうしてもCさんの望みを叶えたいということであれば、夫婦どちらかもしくはどちらもが働くなどして、年金以外の収入を確保しなければなりません。

「せっかく定年まで頑張ったのに、これからまた働くなんてまっぴらだ……目が覚めました。もし息子がこれ以上しつこくねだってくるようなら、このシミュレーション結果をきちんと伝えたうえで『援助が必要なのはむしろこっちだ』と言ってやります」

良好な親子関係は「自立」から

A夫婦とCさんとは親子ですから血の繋がりがあります。しかし家計に繋がりはありません。Cさんはいつまでも両親に頼ることなく、親離れをして自立することが、今後C家の資産を形成していくためにも大切です。

また、A夫婦もCさんが過大に期待しないよう、現在の家計の現状では援助する資金がないことを真摯に伝え、親を頼らない「自活した生活」を求めることが大切です。

牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員