いつまでたってもわが子はかわいいもの。ただし、「かわいい子には旅をさせよ」ということわざがあるように、本当にかわいいと思うのであれば、過度な甘やかしは厳禁です。息子の“トンデモ発言”に思わず「育て方を間違えた」と悔いる60代夫婦の事例から、お金が絡んだ親子関係の厄介さをみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。※個人の特定を避けるため、登場人物の情報等は一部変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
お前、本当に私たちの子か?…貯金1,400万円・年金暮らしの60代夫婦が「毎週」帰省してくれる“孝行息子”に怯えるワケ【CFPの助言】
援助が必要なのはむしろ親のほう?…A夫婦の現実
ここまでみてきたように、A夫婦が安心して老後生活を送るためには、固定費の削減などによる家計収支の改善が必須です。そして家計を改善できたとしても、Cさんが望むような援助は現実的ではないでしょう。
それでも、もしどうしてもCさんの望みを叶えたいということであれば、夫婦どちらかもしくはどちらもが働くなどして、年金以外の収入を確保しなければなりません。
「せっかく定年まで頑張ったのに、これからまた働くなんてまっぴらだ……目が覚めました。もし息子がこれ以上しつこくねだってくるようなら、このシミュレーション結果をきちんと伝えたうえで『援助が必要なのはむしろこっちだ』と言ってやります」
良好な親子関係は「自立」から
A夫婦とCさんとは親子ですから血の繋がりがあります。しかし家計に繋がりはありません。Cさんはいつまでも両親に頼ることなく、親離れをして自立することが、今後C家の資産を形成していくためにも大切です。
また、A夫婦もCさんが過大に期待しないよう、現在の家計の現状では援助する資金がないことを真摯に伝え、親を頼らない「自活した生活」を求めることが大切です。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員